たとえ借金は必要でも、闇金にだけは手を出してはいけない。それは常識ですよね。しかし、闇金の被害に苦しむ人も、闇金業者も後を絶ちません。やはり、生活に困った人が闇金の誘惑に負けてしまうのでしょうか?
ところが、実際は違うようです。闇金であることをうたう業者がいる一方で、「表面上は闇金だと分からないように」接触して違法行為を働く業者がたくさんいます。今回は、そんな「警戒の外からやってくる」闇金の詐欺について手口と対応策をご紹介します。
消費者金融から借金をできずに困っている人やブラックリストに載っている人は特に注意してください。甘そうな金融業者より頼りになるのは弁護士です。
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まさかヤミ金だったとは!というケースが多い
「闇金は金に困ったバカが手を出すもの」「違法だと分かって手を出したんだから自業自得」。
闇金を利用した人へのイメージって、こんな感じだと思います。確かに、その人に全面的な非があるケースも否定できません。
しかし、闇金で悩んでいる人の多くは「お金を借りた後で闇金だと分かった」ケースであることはご存知ですか?
一見、優良企業そうで電話やメール対応も易しい。しかし、いざお金を借りると利息があまりに高く違法な取り立てや嫌がらせで苦しめられてしまう。時代に合わせて手を変え品を変えているから、注意しているだけでは見抜けません。
よって、闇金業者の仕掛ける詐欺を見抜くためには「事前に詐欺の手口を知る」ことが大切です。
詐欺の手口の一覧とその対応策
こちらでは闇金の詐欺について具体的な手口と対策を紹介します。もちろん、ここで紹介されていない詐欺がこれから出てくる可能性はあります。また、「本当の金利を隠す」「業者の名前を有名企業に似せてわかりづらくする」といったことはどの手口に問わず行われているので、CMをやっていない金融業者の名前は例外なく金融庁で確認してください。
紹介詐欺(紹介屋)
紹介詐欺とは「問い合わせた業者と別の業者から借り入れをさせる」詐欺です。これだけでは何がいけないのかよくわかりませんね。
まず、紹介詐欺を行う業者はダイレクトメールなどの広告手段でアプローチをかけてきます。利用者が問い合わせてきたら「審査落ちである」旨や「事情があって貸せない」旨を伝えます。これで利用者は「自分はお金を借りることができないんだ」と思い込ませます。
ここで「〇〇金融に貸してもらえるよう紹介してあげるよ」と提案し、20~40%もの紹介料を利用者に払わせます。そして全く関係のない金融会社や仲間の闇金につなぐのです。利用者は「紹介してくれた人のおかげで借りられた」と勘違いしてしまいますし、闇金を紹介されるとさらに大きな問題に発展します。
対策
- 「紹介する」と言われた時点で断ること
- 相手が誘惑や脅しをかけてきたら無条件に電話を切って、その業者を調べる
- 紹介料を払ってしまっていたらは弁護士に相談
押し貸し詐欺(カラ貸し)
押し貸しとは勝手にあなたの銀行口座にお金を振り込んでそれを理由に「お金を借りたこと」にする手口です。「カニを送り付けて料金をだまし取る」詐欺に似ています。押し貸し詐欺の怖いところは利息を取るまで取り立てをやめてくれないことや、詐欺だとこちらが主張しても今度は脅迫を仕掛けてくることにあります。
ひどい場合は口座に振り込むことすらせずに取り立ての電話をかけてくるケースもあります。このような手口はカラ貸しと呼ばれています。
対策
- 銀行口座の情報漏洩を防ぐため怪しいサイトの利用を控えること
- 業者に口座情報を教えない
- 身に覚えのない請求にはまともに取り合わない
- 小規模な嫌がらせは、弁護士に相談する
- 緊急の場合は、警察に110番する
年金担保詐欺
年金担保詐欺は、年金を担保に高利貸しを行う手口です。年金を闇金業者が直接受け取るために通帳や年金証書が取り上げられてしまいます。しかも、借金を完済しても業者に取り上げられた書類は返してもらえないことが多いです。
生活保護を担保にするタイプの詐欺も流行っています。他人に頼れず困っている人を踏みにじる手口といえます。
対策
- 年金を担保にすることは法律違反!
- 通帳などを預けると入っていたお金を奪われる可能性あり!
- 担保に年金や生活保護を提案されたら時点で断るか、弁護士に相談する。
一本化詐欺
一本化詐欺とは、借金を一本化するという名目で高利貸しをすることや弁護士や司法書士を騙して「借金を一本化する」ための手数料をだまし取ることです。
多重債務者にとって多くの督促状は心理的な負担になりますし、借入先が5社も6社もあるともう管理しきれません。しかし、より金利の安い金融業者に一本化すると金利の負担も多重債務からの焦りも減らすことができます。
つまり、一本化詐欺の恐ろしさは「一本化は本来有効な手段であること」にあります。前者の場合は金利を隠す詐欺が行われるだけですが、後者の場合は何の手続きもせずに高額の報酬を請求するケースや、闇金に借り換えさせてさらなる借金地獄に陥らせる手口があります。
対策
- 借り換えに弁護士・司法書士は要らないと理解する
- 借金の相談を弁護士にした際、借り換えを提案される場合はありますが、弁護士が「代行」することは絶対にありません。
名義貸し
名義貸しとは自分が契約の主体とならないのに名前や口座だけは自分のものとすることです。さすがに闇金に名義貸しをしないだろうと思いますが、そこは業者も頭を使います。
一般的なものであれば「消費者金融の実態調査のために個人情報口座番号を教えてください。手続きはこちらで行います」という詐欺が行われています。謝礼はいくらか支払われますが、同時に消費者金融や闇金の債務も背負ってしまいます。しかも借りたお金は詐欺業者がそのまま手中に収めてしまうので、被害者は高額の債務を背負う羽目になります。
対策
- 名義を絶対に貸さないこと
- 貸してしまった場合は、相手の居所や騙されたことを証明できる書類を準備する
融資保証
融資保証とはお金を貸す前に手数料という名目で数万円のお金を払わせて、そのままお金を貸さずに逃げてしまう詐欺です。普通ならこんな手口に引っかかると思えません。しかし、闇金を利用せざるを得ない人は正規の審査で落ちているため「返済能力の証明として事前にお金を払ってください」という言葉に騙されてしまいます。
対策
- 融資保証詐欺の予感がしたらすぐに電話を切る。
- 融資保証を求める業者からお金を借りないといけない状況なら弁護士に相談して債務整理をしましょう。
携帯買取
携帯買取とは、携帯電話やスマホを買い取るとうたっている業者が、商品だけを受け取ってお金を振り込まない手口です。スマホはそこそこの値段がするので利用者にとって痛手となります。白ロム詐欺と呼ばれることもありますね。
普通ならこんな手口に騙されませんが、「スマホを買い取らせてくれたら、それより高額のお金を貸します。」という融資保証の一形態をとることで騙されてしまいます。これは、偽装質屋の一種といえますね。
対策
- 借金のカタにものを売らせる金融業者は無いと知ること
- 質屋のようにお金と受け取りと同時でなければ、断ること
- 単純な買取業者であってもこちらからものを配送する必要がある場合は要警戒です。(返ってこない可能性あり)
クレカ換金
クレカ換金とは、クレジットカードのショッピング枠を現金に換える行為を言います。例えば「本当は価値のない商品をカード決済で買わせる→それを売却させる→元の80%程度の金額を振り込む」という形をとっています。よって、クレカ換金をしている業者は古物商の許可を得ている場合が多いです。
そもそも、クレカ換金は規約で禁止されていますし事実上貸金業といえます。現金化した枠のうち20%ほどが手数料として取られる点についても年利に直せばとんでもない額です。
しかも、クレカ換金に詐欺が絡むと「カード払いをしたのにお金が振り込まれない」「個人情報を闇金に流された」といった被害につながります。数10万円規模の被害も珍しくありません。
対策
- クレジットカードの現金化は絶対に利用しない(メリット0です。)
整理屋
整理屋とは弁護士でも司法書士でもないのに債務整理を引き受ける詐欺のことを言います。もちろん、手数料だけだまし取って何の手続きもしてくれません。場合によっては闇金に個人情報を流すこともあります。
また、悪徳弁護士が名義貸しをして本当の弁護士事務所に見せかけている整理屋もあります。金融会社と結託して債務整理を債権者有利に持ち込む弁護士もいますから安心できません。
対策
- 地元に根差した弁護士や有名な法律事務所に頼ること
- 「弁護士より安く債務整理をします」のような甘い誘いに頼らない。
生命保険詐欺
生命保険詐欺とはいわゆる保険金殺人のことです。多額の生命保険を債務者にかけさせてお金を貸し、頃合いを見て債務者を殺してしまいます。そうすれば利息も保険金も奪えます。また自動車保険を使って同様の手口を行う闇金もあります。
対策
- そんな話に絶対に乗らない。(殺人は最上級の犯罪です。)
闇金から借りてしまっていたら?
もし、闇金から借りてしまっても返済義務はありません。元本すら返さなくて良いです。ただ、闇金は違法なお金を違法に取り立てる存在なのでいろいろな嫌がらせをして、家庭の崩壊や自殺に追い込む事すらあります。
そうなる前に弁護士に相談してください。闇金業者も裁判を戦うリスクは取らないので弁護士の存在が分かれば手を引いてくれます。場合によっては被害届を出して警察に逮捕してもらうことも選択肢になります。
最後に・・・
このように、闇金は巧妙な手口で善良な市民をだまします。しかし、合法にお金を借りられるなら闇金の誘惑に負けないという点にも一理あります。
本記事では詐欺を予防するための方法をお伝えしましたが、詐欺でない闇金であっても手を出してはいけません。闇金と関わらないための最善手が債務整理であることを忘れないでください。
債務整理は国から認められた借金の解決法で身内や友人にばれずに行うことができます。一人で悩まず、弁護士に相談しましょう。