ここまでの記事では、債務整理について様々な視点から紹介してきました。しかし、前回の自己破産の記事でも紹介したように、借金を減らす・整理するだけではなく、お金に対しての考え方もしっかりと強化して、今後のやりくりに備えなくてはなりません。
そこで、今回の記事はそういったお金への考え方の参考として、「リボ払い」について紹介していきたいと思います。「リボ払いって何?」という方はもちろんのこと、どちらかというと「何となく聞いたことあるけど、何がそんなにダメなの?」という方にこそ読んでもらいたい記事です。
なぜならば、その「何となく」という発想こそが債務整理に陥りやすい思考だからです。「何となく」ではなく、しっかりと自身で理解して、いつも言っている「納得のいく選択」をしてもらえたらと思います。
Contents
「カードローンとキャッシングって違うの?」
さて、早速「リボ払い」の話に入る前に、前段階の話として、カードローンの話から入りたいと思います。カードローンと言うのは、「カードを作ってお金を借りて、返す」という説明になりそうですが、では、キャッシングとどう違うのでしょうか?実情としては、あまり違いがないのが現状ですが、厳密には「キャッシング」というのは、「小口の短期融資」という括りでした。短期融資のため、基本は一括返済となります。
対して、「カードローン」というのは、名前の通り「ローン」がベースですので、中長期的な返済というが基本的な考え方です。そして、このカードローンの返済方法は、今回のテーマである「リボ払い」というのが基本でした。但し、現在はキャッシング、カードローンともにリボ払いだけでなく、返済方法は選べる会社がほとんどです。
さらには、クレジットカードのショッピング利用もリボ払いに対応出来る会社が多く出てきました。しかも、このショッピングのリボ払いは、クレジットカードの通常支払い後にリボ払いへの変更が出来たり、1回払いが自動的にリボ払いに登録できたりと、リボ払いへの誘導が強く見受けられます。リボ払いは、そんなにメリットのある支払い方法なのでしょうか?
リボ払いでメリットがあるのは…?
結論から先に言います。リボ払いで最もメリットがあるのは、クレジットカード、ローン会社です。なぜか。それは金利(手数料)が高いからです。
金利について
さて、この記事はあくまで債務整理のシリーズですので、リボ払いの詳細に入る前に、改めて考え方の話をしていきたいと思います。「借金そのものが悪」のような風潮がありますが、そういうことをいう方も住宅ローンや自動車ローンを組んでいたりします。ちなみに、クレジットカードの「クレジット」とは「信用」です。信用があるからお金を借りることが出来るわけですね。
では、住宅ローンと消費者金融からの借金の違いはなんでしょうか。金利、手数料です。
あなたがお金を貸すとしたら
あなたがお金を貸す側なら分かりやすい話だと思います。もし、あなたが信用できる友人にお金を貸すなら、利子をつけないことが多いのではないでしょうか逆に、例えばSNSで知り合い、実際に会ったことのない人に「お金を貸してくれ」と言われた場合、相当警戒するのではないでしょうか。その対策として、利子を高めに設定するのはもちろんですが、回収出来なければ意味がありません。
担保として収入の確認や、代わりとなるような品物を預かったり、貸す金額を小さくして、信用できると分かってから額を増やしていったり、色々考えるのではないでしょうか。
お金と信用
そう、上記は貸金業者が実際に行っていることばかりです。つまり、お金がないから信用がない、信用がないから高い利息の条件でしか借りられない。まず、この負のスパイラルから脱出しなくてはなりません。資本主義は持てるものが強い、数的優位が鉄則です。
高い利率からの借金を繰り返しては、低い金利で借りている人の何倍も完済までにお金が必要です。もっと言えば、低い金利で借りることが出来るということは、信用力が高いということですので、その人のお金はより安定し、他のことに使えるといういい循環になっているのです。
ということで、まずはどんなに手続きが楽でも高い利率のところから借りないようにしなくてはなりません。そのためには、前回も紹介したように、節約によって「出ていく方」を締めるとともに、「稼ぐ力」の向上と「信用」の向上という「入る方」も上げることが必要です。
そういったことを踏まえて、リボ払いの仕組みを見ていきましょう。
リボ払いの仕組み
では、いよいよリボ払いの仕組みについて紹介していきます。リボ払いは正式には「リボルビング払い」と言い、リボルビングは「回転」という意味です。何が「回転」かというのは分かりにくいかと思いますが、これは「分割払い」との違いによってイメージしやすくなるかもしれません。分割払いの場合は、何回払いと最初に決めると、分割回数に応じた手数料とともに、支払い条件が確定します。
一方、リボ払いでは、月々の最小支払額は総額に応じて決まっているものの、その他の各月の支払い額や支払い総回数は未確定です。この条件の変更が効く具合が「回転」と呼ばれる所以で、支払条件が一部流動的と言い換えることが出来ます。
リボ払いのメリット
先にリボ払いのメリットから見ていきましょう。
・月々の支払い額を抑えられる
例えば、20万円の買い物をしても、月々5,000円で済むような範囲の条件でやっている会社が多いです。
通常の分割払いですと、元金だけで40回払いですので、なかなかこの支払回数に応じてくれるところは難しいかもしれません。
・支払い額の調整が可能
先程の「抑えられる」と関連して、抑えられるだけでなく、「今月は少し余裕があるから多く払おう」ということも可能です。
その場合、より多く元金に充当されますので、結果として支払い回数が少なく=支払い期間が短くなります。
リボ払いのデメリット
リボ払いのデメリットは先述の通り金利です。金利は、会社によって異なりますが、おおよそ年利で15~18%です。
まず、この数字、あなたはどのように感じますか。例えば、先程の20万円の例だと、15%で計算しても3万円を金利分=リボ払いの手数料として払わなければなりません。ちなみに、上記の40回だと3年以上ですので、手数料の総額は3万円で済むケースは稀でしょう。15%という利率はサラ金等とあまり変わりません。元金が大きくなればなるほど、1%の差は大きくなります。参考までですが、10万円の1%は1,000円です。
さらに、厳密には、年利を365日で割った1日あたりの金利を用いて日数で計算します。年利15%であれば、1日あたり0.04%×日数で計算します。そして、多くの会社が適用しているのが、借入れから初回返済までの日数、そして、初回返済からまた日数計算が始まります。このあたりもリボルビング(回転)と呼ばれる考え方に通じています。
金利ともう一つ注意すべきこと
そして、もう一つ金利以外に大切なことがあります。それは、元金への充当比率です。これはリボ払いに限ったことではありませんが、いくら毎月の返済が大きくても、元金が一切減っていなければ、いつまで経っても完済しません。
例えば、いつもより多めに返済した場合、それが全て元金に充当されるのか、金利・手数料に充当されるのかで大きく異なります。これはその会社がどういった貸付条件になっているかが重要ですので、やはり、条件をしっかりと確認することをお勧めします。とは言え、最小返済額で返済を続けた場合、返済している額そのものが大きくないため、どうしても元金に充当される額は少なくなってしまいます。
返済額の少なさによって元金がなかなか充当されず、返済回数が多くなり、その結果、返済期間が長くなること。返済期間が長くなると、当然日数が多くなり、払うべき金利が増えていきます。元々の設定されている高い金利と、上記の日数が増える仕組みの2つが相乗的に払うべき金利・手数料を増やしていきます。
『手数料』について
また、この「手数料」という言い方も注意が必要です。分割払いの手数料は固定ですので、この言い回しが適していると思います。
ただ、金利が設定されているものに、「手数料」という言葉を使うと、期間とともにどんどん増えていくものということを忘れてしまいがちです。貸付業者からすれば、当然お金を貸しており、かつ長期間に渡ることを想定しているわけですから、その分金利が発生するのは当然なのですが、借りる側が金利の事実を忘れてはなりません。
では、どうすればよいのか
ここまでリボ払いのデメリットを詳しく紹介してきましたが、リボ払いのデメリットそのものは紹介しているサイトも多く、冒頭にも書いたように「なんとなく」危険なものという認識は広く知られているところかと思います。では、リボ払いを検討している場合、実際にはどうすればよいのでしょうか。
まず、考えてみてもらいたいのが、「リボ払い以外の方法はないのか」ということです。条件がもっといい借入先はないか、特にリボ払いは利率がネックなのは説明してきた通りですので、利率に注目してあたってみるのがわかりやすいと思います。
・銀行系のローンで借りる
利率が低めに設定されているのは銀行系のローンです。ネット銀行を始め、使途を限定しないローンや色々な使途を想定した銀行も増えてきました。但し、銀行系のローンで借りるには信用が必要です。
・分割払い
分割払いであれば、会社ごとに異なりますが、数回までは分割手数料がかからないところが多く、また、リボ払いと違い、最初に返済までの計画や総額がしっかりと確認出来ます。回数についても、結構長期に渡るような回数に対応している会社もあります。回数を増やしても、総額はリボ払いと差がついています。とは言え、必要な額によっては、分割払いの一番回数が多い支払回数を設定しても月々の料金が払えないかもしれません。
・親族、友人、各種団体など
自己破産の記事でも書いたように、意外と使われていないのがこの方法です。通常の貸金業者から借りるより遥かにいい条件(利率、期間等)の場合が多いのですが、信用に関わるところがネックです。しかし、しっかりと自分が置かれている状況を説明し、真摯に相談を行えば、相手の反応も変わってくるかもしれません。
また、既にリボ払いを組んでしまっている方もいらっしゃるかと思います。そういった方に意識して欲しいのは、とにかくこのリボ払いの債務は少しでも早く終わらせるように動いて欲しいということです。例えば、借金が複数あるのであれば、優先順位を上げて少しでも多く入金する、といった具合です。そのためには、一度現在のリボ払いの契約内容の詳細(元金への充当の条件や利率等)を改めて確認するのもいいでしょう。
もし、既にリボ払いでどうにもならなくなっている、あるいは、この先どうにもならなくなるような見通しであれば、早めに専門家に相談することをお勧めします。以前の相談先で相談したように、最初は法テラスなどがいいかもしれませんね。とにかく、お金の悩みで最も大事なことは早め早めに動くということです。
最後に・・・
今回は、リボ払いの危険性として、金利の高さと返済額の少なさからくる長期返済による返済総額の大きさについて紹介しました。しかし、この危険性はある程度認知されているものにも関わらず、リボ払いを利用し、結果として債務整理を行う方は絶えません。その打開に必要なのは、リボ払いへの正確な知識以上に、しっかりと現状を認識し、解決に動こうとするマインドではないでしょうか。お金の問題で最も重要なことは早め早めに、未来を見据えて動くということです。
リボ払いの特性を理解し、色々比較検討した上で、現状ではリボ払いがベストということもあるでしょう。それが、ご自身で「納得のいく選択であるならいい」と私は思います。ただし、紹介してきたようにリボ払いの条件は条件としてはかなり悪い方ですので、もっといい方法は比較的探しやすいというのも忘れないでほしいと思います。
リボ払いを利用しようと思った際には、ぜひ今回の記事を思い出して頂き、もっといい方法はないかもう一度考えてみること、もし、なかなかいい方法が自身で思いつかなかれば専門家に相談してもらえればと思います。この記事があなたの借金問題、債務整理の役に立てれば幸いです。