突然、自宅に「債権譲渡通知」が届いていたら、恐らくほとんどの方が驚き、そして急な不安に苛まれると思います。
・一体、いつ借金をしてしまったのか?
・知らないうちに、スマホで契約してしまった?
・昔した借金が実は残っていたのかな?
など、一気に記憶の糸を頭で駆け巡らせるはずです。しかし、この債権譲渡通知が何の脈絡もない、闇金からの脅しだったとしたら、どうでしょうか。
非常に腹立たしいですし、これで騙されて支払いをしてしまう、という方も多くいるのです。今回は、闇金から債権譲渡通知が届いてしまった、という方への対処法などを紹介していきます。
Contents
債権譲渡って何?
そもそも、債権譲渡を知らないことから、急な恐怖に苛まれる方が多くいるようです。債権譲渡とは一体何なのかを、まずはここで学びます。
債権譲渡の定義
債権譲渡とは、債権を債権者の意思によって他人に譲渡させることです。
第三者がかわりに取り立てる
例えば、Aという会社から借金をしていた場合、
返済はそのA社指定の口座などにし続けることになります。この際に、A社が何らかの理由で別の会社B社に債権を譲渡したとします。その場合、今度は自らが抱えていた借金をA社ではなく、B社に支払うことになります。
第三者が代わりに取り立てる構図となります。
債権譲渡通知が届く理由
さて、債権譲渡通知が自宅に届く場合、理由として考えられるのは、かなりの期間に返済をしてこなかった、ということが考えられます。
例えば、100万円の借金をしていながらも、まったく返済をせずに放置していた場合、A社では一括返済要求などの手間がかかるような取引を行う必要があります。そういった場合、借金を回収することが専門である債権回収会社など、第三者へ債権譲渡が行われます。
債権回収会社は、それらをメインとしているため、法的手段などを駆使してきます。つまり、通知が来て、その債権譲渡通知の内容が回収業者にとって正当であり、何ら落ち度が無い場合は、放置によって裁判となるなど、大きな金銭トラブルへと発展していく可能性がある、ということなのです。
ウソの債権譲渡通知の見分け方
さて、仮に自分自身が長らく返済を無視していた借金があれば、思い当たる節が出てくるでしょうが、全く見に覚えのない債権譲渡の内容であることがあります。闇金からの債権譲渡通知などは、そういった悪質な脅しの手口として利用するのですが、どのように見分けると良いのでしょうか。
本物の債権譲渡通知の場合
・差出人自体が、元の債権者である(借りた覚えがある)
・内容証明郵便で届いた(確実に受け取った証拠を求めるため)
闇金(ウソ)の債権譲渡通知の場合
・適当なダイレクトメールや封筒で届いた場合
・差出人から借入した覚えが無い、差出人が不明確
本物と偽物のケースを比較していただけると分かるかと思いますが、債権譲渡通知は、手軽に送付できる内容の通知ではありません。
内容証明郵便などの手続きを踏んでいない郵便やメールには警戒し、闇金からの通知と判断できた場合は、完全に無視をする、ということが大切でしょう。
「脅し」と「嫌がらせ」に使われる
さて、債権譲渡通知については理解できたと思います。ここからは、闇金がなぜわざわざ手の込んだ債権譲渡通知を送ってくるのか、その手口について紹介していきます。
返済が遅れた場合の脅迫
闇金からお金を借りていた場合、あまりの金利の高さや厳しい返済サイクルのために、返済が滞ってしまう方もいるようです。
闇金に滞納している場合、闇金はあの手この手で債権回収に躍起になるわけですが、そのうちのひとつの脅しが、債権譲渡通知ということです。闇金が債権譲渡を送ってきた際、何だろうとぼんやりしていると、電話がかかってきて、「暴力団などに債権譲渡した」などと、非常に恐ろしい脅しをしてくることがあります。
基本的には、貸金業規制法を遵守することが定められているのですが、闇金は貸金業規制法を無視している団体ですので、勝手にいくらでもやってしまいます。まずひとつが、返済をさせるために使う、脅しとしての債権譲渡通知です。
無闇に送りつける
また、債権譲渡通知が闇金から届く場合というのが、別に闇金からお金を借りていないのに、債権譲渡通知だけが届くというパターンです。闇金からお金を借りているのであれば、仮に何となく脅しや手口であることはわかります。
しかし、全く見に覚えのない債権譲渡通知が届けば、普通は驚いてしまうものです。闇金は、横のつながりを持っていますので、仮に一度でもどこか闇金にお金を借りようと連絡していた場合、断ってもその履歴は残ります。住所まで暴かれてしまった場合、勝手にさまざまな闇金から、こういった債権譲渡通知が届くことがあるのです。完全に違法ですし、明らかな嘘ですので無視が一番でしょう。
また、こういったパターンの方は、一ヶ月などの短いスパンで何通も債権譲渡通知がやってきます。「自分は借りていない」という強い意思を持って無視することが大切となってきます。この嫌がらせに屈すると、今度別の闇金から、「お金に困っていませんか?」という、とても良いタイミングで連絡が入り、この最悪のループに引っかかってしまうわけです。
むしろ、法的に有利になるネタ
債権譲渡通知が届き、明らかに闇金による脅しや嫌がらせの手口とわかれば、無視することが一番です。しかしながら、なかには大変リアルな内容で債権譲渡通知を作ってくる用意周到な闇金もいます。また、あまりにもしつこい場合もあり、一人暮らしならともかく、ご家族がいるとしたら信頼を失いかねません。こんな嫌がらせに勝つためには、法的な手段も考えておくべきでしょう。
弁護士でないと行えない
まず、債権譲渡は基本的には弁護士で無いと行うことができません。そのため、弁護士事務所を通していない所から普通に債権譲渡通知が届いているとしたら、それは明らかに嘘ですし違法ですので、通報しても負けることはないでしょう。
債権会社の条件
明らかに弁護士では無いだろう、という闇金からの嫌がらせによる債権譲渡では良いですが、中にはリアリティのあるものがあります。さらに、本物の債権譲渡通知には弁護士では無いところが送り主になっている場合もあります。実は、不良債権が増加したことからも、弁護士だけではなく、別の債権回収業者が業務にあたることができるようになっています。
とはいえ、債権回収業者をベンチャーで立ち上げようなど、手軽に誰でも債権回収ができるわけではありません。例えば、条件がかなり厳しく揃えられており、資本金が5億円以上なければならないとか、暴力団との関わりが無いこと、社内に一人は弁護士会が推薦の弁護士がいること、そして、法務大臣許可を得ているなどが条件となります。
・ネットでも出てこない
・出てきても怪しい小さな会社
これらの場合は、闇金が勝手に名前を使っていたり、さらには想像上の会社であることも考えられます。逆に、闇金側が嫌がらせをしようと作った債権譲渡通知は、こちらが弁護士たちに頼んで調査してもった結果、あちら側が法律違反でしょっぴかれる可能性が高い、ということなのです。
脅しの手口として、適当なことをしている闇金なのですが、きっとそこまでやってこないだろうと高をくくっています。そこで、まさか弁護士などに介入されてしまった時は、逃げ場が無くなってくるため、自業自得なわけです。
身に覚えの無い債権譲渡通知は無視するに限りますが、明らかに嫌がらせを目的としていて、こちらも戦う意思があるのであれば、思い切って弁護士に相談しても良いかもしれません。案外、同じ闇金が複数制作していることもありますからね。
焦らず、慌てず、相談しよう
闇金からの嫌がらせの、債権譲渡通知の対応の基本は、無視です。
筆者の自宅にも、以前は何度も債権譲渡通知がやってきました。やはり、スマホで何でもできる時代ですので、思わず変なサイトに行ったり、買い物をしてしまったのか、という不安に襲われます。
また、以前ように闇金も明らかに“偽物”と分かる債権譲渡通知ではなく、リアリティのあるものを送りつけてきます。まず、債権譲渡通知が届いたらとしたら、冷静に対処することが大切になってきます。
まず確認すべきは、身に覚えがあるのか、というところからです。基本的には、譲渡されている業者だけではなく、譲渡前の業者も記載があります。そのため、住所、会社名、請求内容、金額など記載されている情報を調べてしっかりと本当か嘘が、把握していくことが大切になってきます。さらに、いきなりその業者に電話などすると、分割などを要求してきます。
一度払ってしまうと、なかなか法的な段階に入った時、面倒なことになります。通常、債権譲渡通知が届いてもその日中にどうにかしてほしい、というものではなく、一定の猶予はあるものです。
そのため、困った時には即時、然るべき場所に相談することが重要です。行政にも、こういった消費者トラブルに対応してくれる部署があるので、足を運んでみるのも良いでしょう。
弁護士や司法書士に相談するのも一つの手段ですが、無理矢理その悪質な債権譲渡通知と戦おう、ということでかなり高い弁護料を徴収してくることがあります。
猶予があるのであれば、とにかく全ての行動を冷静に見直し、その債権譲渡通知の内容や闇金からなのかなど、さまざまな部分を把握した上で、闇金に強く、親身に対応してくれる事務所を選んで相談してみください。
焦ると、必ず間違った行動をしてしまうのが人間です。落ち着いた行動をすることを心がけ、闇金からの嫌がらせを止めましょう。
最後に・・・
債権譲渡通知など、債権という文字に敏感になってしまうのが、闇金から借金をしたり、ブラックの方々です。常に、何か追われているような感覚に襲われていると、偽物の債権譲渡通知であっても、戦々恐々としてしまうものです。
本来できることであれば、借金などは弁護士などに相談して、キレイに片付けるステップを踏んでください。闇金からの嫌がらせの全ては、心の余裕が無いことから、騙されてしまうことが殆どです。
債権譲渡通知についても、債権譲渡というシステムをしっかりと頭の中で把握して、怪しいところから届いたとしても冷静な判断ができる、そんな心理状態を保つように努力をし続けましょう。