ヤミ金の特徴といえば、あの恐ろしく高い金利。どこかおかしいと思いながらも、取り立ての恐怖のあまり、従わざるを得ず数十万、数百万円貪り取られている方もいるようです。
さて、そんなヤミ金なのですが、近頃よくテレビCMなどでも見ることが多くなった「過払い金請求」は適応されるのでしょうか。それとも、ヤミ金には過払い金請求は無意味なのでしょうか。今回、ここではヤミ金と過払い金の関係性について、考えていきたいと思います。
Contents
過払い金の定義
ヤミ金を対象に過払い金請求ができるか否かを考える前に、そもそも過払い金とは何か、ということから考えていきましょう。
過払い金請求とは・・・
過払い金とは、貸金法で定められている金利以上の利息を支払っていた場合、その分を支払先から返還してもらうことができる仕組みのことを指します。
過払い金請求の対象として特に知られているのが、消費者金融での借入に対する支払ってきた金利です。
実は、クレジットカードや割賦金などを導入しているサービスでも対応可能なのですが、今回はヤミ金のお話ですので消費者金融での借入ということを前提に、説明していきましょう。
過払い金請求が話題となったわけ
過払い金請求に関してですが、近頃新しく借り入れをした方々を対象にしているというよりは、平成19年頃までに消費者金融で融資を受け、返済をし続けていた人たちを対象としています。
その理由ですが、その頃の消費者金融の金利が、「グレーゾーン金利」と呼ばれていた、法の抜け道を上手に利用した金利設定だったからです。この、グレーゾーン金利なのですが、「出資法」と「利息制限法」が関係しています。
グレーゾーン金利について
グレーゾーン金利とは、法の隙間を上手に利用した余分な貸付を指します。
貸金法が改定される前・・・
出資法→『年率29.2%以上を設定してはならない』
利息制限法→『最高の金利は20.0%まで』
とそれぞれ金利の上限が法律で異なっていました。
本来は消費者金融に関しては利息制限法で消費者金融に融資を行うべきであるものを、出資法での融資というカタチを取ることで、消費者金融側は大きな儲けを出していたのです。
多重債務者救済策として改定された
さらに、当時の消費者金融は融資をすればするほど儲かっていたため、審査もかなりユルく、筆者の周囲では新しいアルバイトに転職した1日目の人だろうが、数十万円を融資を受けていた状況でした。
結果、多くの人たちが容易に融資を受けることとなり、あっという間に多重債務者が増加。それを重く見た国が動き出し、グレゾーゾーン金利は無効だという判決が、最高裁判所によって定められたわけです。(2006年1月13日判決)
新しく法改正されながらも、それ以前の金利も不当ということになったため、出資法の上限金利29.2%で暴利を貪っていた分、利息制限法の20.0%分との差額を返還することができるようになりました。
過払い請求→金利息を多く支払った差額分を消費者金融に請求できること
じゃあ、ヤミ金の場合は?
さて、ヤミ金で過払い金請求ができるのか、という主題に戻っていきましょう。
そもそも返済義務はない
ヤミ金から過払い請求をするもなにも、まず頭に入れておいてほしいのが、ヤミ金には返済義務は無い、ということです。
前述した通り、利息制限法の上限金利は20.0%と定められており、それ以上の金利で貸付けを行うこと自体、法律違反です。
法を遵守していない金利に関しては、返済義務はなく、然るべき対応をすればヤミ金との縁を切ることはできます。それだけは、忘れないでください。
過払い請求は現実的ではない
ヤミ金は、公式な貸金業者では無い場合が多く、そういった場合は過払い金請求を行うことはかなり厳しくなります。
営業許可を取っていないことからも、契約が無効にできる反面、契約が無かったことにされるなど、相手が真摯に対応してくれず逃げられることも考えられます。
取引履歴の開示請求を無視したり、090金融などは居場所すら掴めない可能性があります。
過払い金請求ができるヤミ金とすれば、正確に事務所の位置がわかり、ある程度良心的な対応をしてくれるような場所でないと厳しいでしょう。個人的な経験から、正規のやり方でヤミ金から過払い金を返還することは、容易ではないと思っています。
嫌がらせのリスク
さらに、ヤミ金に関しては、借主の精神を追いつめ、お金を搾取することしか考えていないので、弁護士からの真面目な取引などを無視して嫌がらせを続ける可能性があります。
実態が掴めないヤミ金の場合、過払い金どころか取引停止を取り付けるまでにも、相当根気が必要です。ずるずる、時だけが過ぎていった場合、勝手に遅延損害金を支払えなど、契約があたかも続いているようなことで、嫌がらせをしてくる場所もあります。
さらに、弁護士に相談した、という事実に逆上して嫌がらせをしてくる、ヤミ金も存在しています。
縁をきれない
筆者の周囲の人間の中に、ヤミ金から過払い金を請求しようと思った方がいるのですが、やはり結果的に縁を切ることは難しいようです。
そもそも、正式に営業許可を取っていないことからも、営業停止勧告など関係がありません。結果、名前を変えて付き合いを迫ってきたり、押し貸しなどをされて、ズルズルとヤミ金との付き合いが続いてしまうことが多いわけです。
お金が返ってくる!詐欺救済法とは?
とはいえ、ヤミ金から搾取された法外な金利分を返還できないのは、どうしても納得できない、という方は多いはずです。実は、正式な方法での過払い請求は難しいものの、詐欺救済法が用意されているので、ここでチェックしていきましょう。
詐欺救済法とは?
ヤミ金から過払い金を請求できる方法として振り込め詐欺救済法があります。
詐欺救済法は、「犯罪利用預金口座等に係る、資金による被害回復分配金の支払等に関する法律」という内容の法律となります。まず、ヤミ金の口座を停止させ、この口座残高を被害者に分配するという法律です。
申請書の様式と記載方法・申請の流れ
では、どのように振り込み詐欺救済法について手続きを進めていけば良いのか、申請書の様式と記載方法などを解説していきましょう。
申請場所
銀行や郵便局、金融機関で申請が可能です。
用意するもの
『申請書』
『本人確認書類』
『振り込みの事実を確認できる資料』
申請したことがある知り合いがいるのですが、しっかりと各所金融機関には対応してくれる人がいるので、わからなければ相談すれば良いでしょう。
申請書の様式は、一般的な申込用紙となんら変わらず、申請人の住所や電話番号、名前などを記入する欄があります。
また、代理人用の欄もあるので、弁護士などに代理を頼むことも可能となっています。そして、被害等に関する情報として、広告番号、振込先の口座名義人、被害額(振込金額の合計額)、犯人からの連絡方法など細かな部分の被害情報を記載する空欄があります。
また、申請人が被害者の相続人又は預(貯)金の譲受人(一般承継人)である場合に記載する被害者情報の欄、そして、控除対象額がある場合の記入欄、払を受けるべき被害回復分配金の額の割合について、他の申請人等と合意がある場合、他の申請人等に関する情報を記載する欄があります。
どれくらいの返ってくるのか?
さて、ある程度の準備が整ったとして、問題はどのくらい過払い金が戻ってくるのか、ということです。
実は、なかなかここまでしても難しいことに、ヤミ金側の口座に1円も入っていなかったら、分配されるお金はありません。あちら側も、用意周到であり、振込があったら即時引き出している可能性があります。
ただし、個人的には搾取されているのに無視するも悔しいと思います。どうしても過払い金が欲しい方の場合、この手続きをしないよりはした方が良いでしょうし、泣き寝入りするよりも、僅かな可能性に賭けるということも重要なのかもしれません。
正しい知識を持った専門家を頼ろう
ヤミ金に対して過払い金請求するよりは正しい知識を先ずはもって対応すべきです。
まず、先ほどのように銀行などで申請書を書き込み対応するとか、一般的な過払い金請求をするなど、ヤミ金相手ではあまり効果がありません。
仮に、口座を凍結したところで、根本が解決しないので嫌がらせがエスカレートする可能性があります。
筆者の考えとしては、過払い金などを求めるというよりは、救済法として弁護士や司法書士に対応してもらう、という方向性が良いと思っています。ヤミ金は違法ですので、ヤミ金がらみの相談場所としては、専門の事務所へ直ぐに連絡を入れてください。
最後に・・・
ヤミ金は、確実に違法です。そして、多くの人たちからあり得ないほどの金利を搾取しているため、過払い金請求に真面目に応じるわけがありません。そもそも、営業許可を取っていません。今回、紹介した救済法などをもとに、アナタに合ったものを弁護士などに相談してみてはいかがでしょうか。