貸金業法が施行され総量規制が設けられたことで、「正規の業者から借金できない人」が増えたために、ヤミ金から借金をする人が増えています。
ヤミ金は、1度借りると抜け出すのは困難です。中には、夜逃げや自殺を考える人もいます。しかし、ヤミ金の借金は「返す必要のない」ものです。また、ヤミ金の問題は「正しく対応」すれば「必ず解決」できます。
この記事では、ヤミ金の正しい解決方法と誤った対応についてお話していきます。
ヤミ金から借金をしてしまってどうしよう・・・と悩んでいる方は、参考にしてください。あきらめずに、「ヤミ金から逃げ切る」という強い気持ちが大切です。
Contents
ヤミ金の借金は「1円たりとも」返す必要がありません
「借りた物は返す」ということがありますが、ヤミ金からの借金だけは別です。法律では、ヤミ金からの借金は「1円も返す必要がない」のです。
ヤミ金に返さなくてよい3つの根拠
- 違法金利は支払う必要がない
借金に付される利息は、法律で上限が決められています。「金銭の貸付けを業として行う」場合の上限利息は「年20%を超えてはいけない」と決められています。ヤミ金は、この上限利率を大幅に上回る暴利でお金を貸し付けます。たとえば、トイチ(10日で1割)は年365%です。出資法では、「商売ではない貸付け」の上限利率を年109.5%としています(出資法5条1項)が、これよりも遙かに高い利息です。
なお、出資法では、上限利率に違反した場合に、次の刑事罰を定めています
・年20%を超える利息・・・
5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金(併科可能)
・年109.5%を超える利息・・・
10年以下の懲役もしくは3,000万円以下の罰金(併科可能)
上限利息を超える「利息を付する契約」をしても、「利息の支払を要求」しても、「利息を受領」しても、罪に問われます。3年を超える懲役刑には「執行猶予」がありませんから重い刑罰です。
「ヤミ金の利息」は、そもそも「要求してはいけないもの」なので、支払う必要は全くないのです。
- ヤミ金は「元金」も返さなくてよい
「法律違反の利息は支払わなくてよい」というルールは、かなり前から確立していました。しかし、「借りた元金」の取扱いについては、以前は明確なルールがありませんでした。
この点について、最高裁判所は、平成20年6月10日に、ヤミ金の貸付を「著しく高利の貸付という形」をとった「反倫理的行為」であると判示しました。「ヤミ金元金返済不要判決」とよばれる有名な事件です(判決の全文はこちら)。
民法708条は、「不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない」と定めています。ヤミ金の貸付行為は、「反倫理的行為」だから不法原因給付に該当する、というのが、この最高裁判決の内容です。
この事件の判決を、ごく簡単に説明すれば、「ヤミ金から5万円借りて、5万円返したとしても、その5万円を損害賠償できる」という内容なのです。つまり、「ヤミ金が貸した元金は丸損」という判決です。ヤミ金にとってはかなり痛い判決です。
- ヤミ金の借金を踏み倒しても「ブラック情報」にはならない
「ブラック情報」は、信用情報機関に加盟している金融機関からの報告で掲載されます。ヤミ金は非合法の業者なので、JICCやCICといった信用情報機関に加盟できません。したがって、ヤミ金の借金を踏み倒しても、他の借入やクレジットカードの利用には、何も影響もありません。
一度、ヤミ金に借りると完済させてくれない
「ヤミ金は怖い」から「早く完済して手を切ろう」を考える人は少なくありません。誠実な人ほど「必死に返済」しようとします。
しかし、ヤミ金の借金を「完済するのはとても難しい」です。ヤミ金は「1回でも多く利息を支払わせて、暴利を得る」ことが目的です。そのため、「1度捕まえたカモ(客)」は簡単には手放しません。「まじめに返そう」と思っている人はヤミ金にとっては格好の獲物なのです。
ヤミ金に支払う際には、「直前に(指定の日時までに)ヤミ金に連絡する」ことが一般的です。ヤミ金の返済用口座は、違法取引された口座ですから、いつ凍結されるかわからないからです。
また、ヤミ金への支払いは、「利息だけ」になるのが一般的です。元金が減っては利息が減るからです。さらに、「元金を返済するときには、事前に連絡する」ことを要求します。これらは、「利息を搾り取り続ける」ための仕掛けなのです。
ですから、ヤミ金は「完済されること」をものすごく嫌がります。ヤミ金は、次のような手口で、完済を邪魔してきます。
- 事前連絡を無視される
- 電話番号を変えて事前連絡ができないようにする
- 振込口座を「ギリギリ」まで伝えない(支払期限に間に合わせない)
- 振込口座を「わざと間違えて」伝える
- 元金返済を拒否する(利息しか受け取らない)
- 押し貸し(返済後に、無理矢理貸し付けて「借入を更新した」ことにする)
こちらが完済しようとしたのを邪魔した上で「約束通りに動いてくれなかったので、今回は完済できません。次回も利息をいれてください」と一方的に言われるのです。
それでも「利息を搾り取り続ける」のがヤミ金の手口なのです。私なら「どうせ返させてくれない」のであれば、「もう支払うのをやめよう」って思います。
精神的に追い込んでくる
ヤミ金は「客の弱みにつけ込むプロ」です。「借金していること」は誰にとっても「後ろめたい」ものです。まして「ヤミ金から借りてしまった」というのであればなおさらです。ヤミ金は客の「負い目」や「引け目」を上手についてきます。
たとえば、テレビや映画・マンガを通してイメージするヤミ金は常に「暴力」とセットです。実際に、「返さなければ○○するぞ!」という脅し文句を用いるヤミ金は少なくありません。客に「ヤミ金は怖い」と思い込ませることで、「ヤミ金のいいなりにする」ことが目的だからです。
しかし、最近は、「ソフトヤミ金」とよばれるヤミ金が増えています。ソフトヤミ金は、典型的なヤミ金とは逆に「親切」、「優しい」ということを売りにしている場合があります。ネットで見かける「体験談」でも「怖くなかった」ということが書かれていたりします。ただ、その体験談もサクラかもしれませんけどね。
本当に親切であれば「暴利」で貸し付けるはずがありません。「親切を装う」のは、「客をてなずけるため」であり、「客をヤミ金のいいなりにしよう」ということは同じなのです。「ソフト」という言葉に騙されてはいけません。「ヤミ金はヤミ金」です。
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まずは落ち着いて情報を整理しましょう
ヤミ金の問題を深刻化させないためには、「落ち着いて対応する」ことが大切です。たしかに、「ヤミ金は怖い」からこそ「落ち着いて」、「慎重に」対応しなければいけません。
ヤミ金から借金をしてしまう場合には、他にも借金があるといった事情で、自分自身の状況がわからなくなっていることが少なくありません。「1人で抱え込んでしまう」ことが最も良くありません。
できるだけ早く弁護士・司法書士に相談することが大切です。弁護士・司法書士への相談をスムーズにするためにも、次のような情報は、しっかりと残しておきましょう。
相談する際に調べておくべき項目
- いくら借りたのか
- 相手の電話番号
- 電話のあった日時・回数
- ヤミ金のサイトのアドレス(URL)
- キャッシュカードを送付することを要求された際には、その住所
- 「買取屋」や「チケット屋」の場合は、換金した場所、チケットを購入した店舗
やってはいけない対応の例
ヤミ金は自分で違法だとわかって営業しています。当然逮捕されるリスクも承知しています。だからこそ、「安易な対応」「間違えた対応」はとても危険です。
たとえば、これから説明する「よくありがちな対応」は、ヤミ金の問題をかえって深刻化させる可能性の方が高いです。
やみくもに警察へ相談
ネットでヤミ金について調べてみると、「ヤミ金被害にあったら警察に相談」とよく書かれています。
でも、私は「すぐに警察に相談に行くこと」はおすすめしていません。
なぜかといえば、「警察に相談しても解決しないことの方が多い」からです。たまたまうまく解決したということもあるようですが、実際には「解決しない」方が多いようです。
まず警察は「相談する場所」ではありません。通常は「相談」では警察は動いてくれません。ヤミ金に「電話を1本いれてくれる」ことはあるかもしれませんが、「相談」で「ヤミ金を検挙する」ことはありえません。
警察を動かすためには「被害届」を出す必要があります。しかし、「被害届」を出してもたいていのケースで「捜査」してくれません。「他に同じ被害を受けた人がいれば」ということを警察はよく言うのですが、「これはあなただけの被害届では捜査しない」と言っているのと同じです。
また、警察に対応してもらうには、「被害を受けた証拠」を揃えておく必要があります。しかし、一般の方が1人で「警察を動かせる証拠」を揃えることは難しいものです。
さらに、警察が「中途半端に介入」したことで、ヤミ金の態度が激化することも考えられます。警察はあなたを24時間守ってくれるわけではありません。
実際に「暴力」や「脅迫」されれば警察もさすがに動いてくれますが、「何かされてから」では遅いのです。
私は、「暴力される」のも、「脅される」のもイヤなので、警察以外の解決方法を考えます。
闇金業者からの連絡に応対
ヤミ金への支払いをしなければ、当然ヤミ金から連絡がきます。このヤミ金からの「連絡には出ない」ことが大切です。先にお話したように、「ヤミ金は弱みにつけ込むプロ」です。電話に出たり、SNSで返信すれば、ヤミ金の思うつぼになりかねません。
万が一、ヤミ金からの連絡に応対してしまった場合には、「ヤミ金の指示に従わない」ことが大切です。1度したがえば、ヤミ金は「この客は、こうすれば言いなりになる」と判断します。
大切なことなので、繰り返しますが、「ヤミ金は客の弱みにつけ込むプロ」なのです。ヤミ金から逃げ切るためには、「ヤミ金には従わない」ことが重要です。
夜逃げや自殺
「夜逃げや本舗」という映画が過去にありましたが、借金を苦に夜逃げする方は、いまでもいます。ヤミ金を恐れて夜逃げする必要はありません。夜逃げは、「今の生活のすべてを失う」行為です。
正規の貸金業者からの借金であっても夜逃げせずに解決できます。ヤミ金からの借金は「そもそも返す必要がない」ものですから、違法業者のために夜逃げをする必要はありません。まして、「自殺で解決」ということを考える必要もありません。
ヤミ金問題を解決するための「正しい」対応の例
ヤミ金の借金は、「正しく対応」することで必ず解決できます。以下では、「ヤミ金から逃げ切る」、「ヤミ金を解決」するために、「重要な3つのポイント」について説明します。
ヤミ金問題を解決する3つのポイント
電話にでない
ヤミ金からの連絡は、電話がメインです(ソフトヤミ金ではLINEやFacebookといったSNSを用いる業者もあります)。先ほども書いたことですが、「ヤミ金からの電話にはでない(SNSには返信しない)」のが鉄則です。電話にでてしまえば、ヤミ金のペースに持ち込まれてしまいます。
万が一、電話にでてしまった場合には、「通話を録音しておく」ことが大切です。
脅しや嫌がらせに屈しない
電話にでないことが続けば、留守電に「脅迫まがいのメッセージ」を残されることもあるでしょう。SNSでも暴力的なメッセージが送られてくるかもしれません。「嫌がらせ」をすることで、「客をいいなりにする」のがヤミ金の常套手段だからです。
ヤミ金の嫌がらせはもちろん「怖い」です。しかし、ヤミ金が「脅迫」や「暴力をほのめかした」ことは、こちらにとっても武器になるのです。留守電やSNSのメッセージは「消さずに」残しておきましょう。
これらは、警察に被害届を出すことになった場合の重要な証拠です。
「ヤミ金と手を切る」・「ヤミ金の借金を解決する」には、「ヤミ金に屈しない」ことが大切です。
既に数回支払っているケースであれば、ヤミ金は既に利益を出しています。たとえば、トサンで借りた場合なら、「3回利息を支払えば」ヤミ金には実質的な損はありません。ヤミ金にとっても「脅しや嫌がらせに屈しない客」は、「カモではない面倒な客」なのです。
私は「違法なヤミ金に儲けさせるために苦しい思い」をするのは絶対にイヤです。
早期に弁護士・司法書士へ相談
ここまでお話してきたように、ヤミ金の問題を解決するには、「相手にしない」ことが最も重要です。しかし、一般の方が「1人でヤミ金と戦う」のは、やはり大変です。
「借金の悩み、ましてやヤミ金からの借金の悩み」は「誰にも相談できない」という弱みを、ヤミ金は上手についてきます。だから、「1人で抱え込む」のがヤミ金被害を深刻化させる一番の原因なのです。
言い換えれば、「ヤミ金を解決するための1番の方法」は、頼れる相談相手を見つけることなのです。ヤミ金への対応は、ヤミ金問題に精通した弁護士・司法書士に相談することが、ベストの方法です。
たとえば、「ヤミ金の被害を警察に届け出る」場合でも弁護士・司法書士がついていれば、警察の対応もかわります。また、ヤミ金も「ヤミ金対策に精通した」弁護士・司法書士がでてくれば「これ以上追いかけたら面倒になる」と考えるようになります。
いまでは、ネットを通じて、ヤミ金に対応してくれる弁護士・司法書士を見つけることができます。
ヤミ金からお金を借りてしまったときには、深刻な問題になる前に、「できるだけ早く」弁護士・司法書士に相談しましょう。借金の額が140万円以下であれば、司法書士にもヤミ金対応を依頼できます。
最後に・・・
ここまで、ヤミ金の借金にどう対応したら良いのかということについてお話してきました。ヤミ金から借金をしてしまった方は、正規の金融機関から借金できない事情のある方がほとんどです。それ故に、「もう誰にも相談できない」と問題を1人で抱えがちです。
私なら弁護士・司法書士にできるだけ早く相談して、1日も早くヤミ金から解放してもらいます。弁護士・司法書士にも費用はかかりますが、分割払いや後払いにも対応してる所もありますし、相談だけなら無料の場所がほとんどです。一人で悩まずに、まずは専門家に相談することをおススメします。