昨今、ネット上では「リボ払い=怖い」というイメージが定着しています。ですが、実際に利用した人でないと、その恐ろしさは理解できず、理解した時には既に時遅し、ということになるのです。
ですが、リボ払いだから絶対に返済することはできない、もはや債務整理しか道はないというわけではありません。確かに恐ろしいリボ払いですが、仕組みを理解し、適切な対策を実行すれば少ない苦労で問題を解決できるのです。
そこで、リボ払いの返済シミュレーションにより、借金を完済するためのコツについて解説します。毎月の負担にうんざりしている人は是非とも参考にしてください。
Contents
■リボ払いとは?
まず、そもそもリボ払いの仕組みがどのようなものであるのか、簡単に説明しておきます。
リボ払いとは、クレジットカードでお買い物をする際の支払い方法の一つです。日本のクレジットカード決済の支払い方法は、「リボ払い」「一括」「分割」などから選ぶことができますが、中でも一般的に「毎月の負担」が少ない方法として知られています。
通常、分割払いで支払う場合、例えばテレビショッピングでも「◯千円の◯ヶ月払い」といったように、1ヶ月あたりの支払い額が提示されます。クレジットカード決済で購入する商品の金額を分割回数で割って、それに毎月の手数料を加えた金額を指定口座から毎月引き落とされるという形です。そして、同じクレジットカードで別の商品を購入した場合、その金額は加算されます。
例えば、1回の支払いが5千円の商品を購入したとします。その支払いが完了していない状態で、今度は1回3千円の支払いで別の商品を購入したとします。この場合、1回の支払いが8千円になります。さらに購入すればその分だけ毎月の支払いの負担は増加していく計算になります。
一方で、リボ払いの場合はそうなりません。購入し、残債のある支払額を合計して毎月支払う分割払いに対して、リボ払いの場合はどれだけ商品を購入しても支払額の負担が増加することはありません。リボ払いの仕組みは、毎月の支払いが商品ごとの分割払いの合計になるのではなく、あらかじめ決められた金額を毎月支払うというシステムです。
例えば、毎月の支払いが5千円で固定されている場合を想定します。この条件において、上記のような商品の購入の仕方をする場合、それぞれの商品代金を支払うのではなく、購入代金の合計額から規定の金額を毎月支払う形になります。上記だと毎月8千円だったのが、毎月5千円で固定されるのです。
このように、短期間でどれだけカードショッピングをしても、月々の負担がそこまで増加しないという点がリボ払いの魅力です。
■リボ払いが怖い理由
では、このように利便性があり、高額なショッピングをしても毎月の負担が少ないリボ払いのどこが怖いのかと言えば、その利便性と不透明性です。これらが組み合わさることで「借金をしている」という意識が薄れ、いわゆる「カード破産」を引き起こしやすくなるのです。
従来の分割払いの場合だと、購入した商品が多いほど毎月の負担が大きくなります。そのため、その負担の大きさがストッパーとなるのです。「あ、今月はこんなに支払いがあるなぁ、しばらくカードで買い物するのは止めておこう」ということになるのです。しばらくすれば分割回数の少ない買い物から支払いが完了し、再びカードショッピングをしても致命的な負担にはならなくなります。
一方でリボ払いの場合は、基本的に残債が毎月の支払額に比例しません。厳密には、契約内容次第ではスライド方式によって支払額が大きくなる可能性があるのですが、分割払いほどダイレクトに影響しません。そのため、毎月の支払額が少ないことで「まだまだカードを使って買い物ができる!」と思い込んでしまうのです。実際、今までカードショッピングをそこまで利用してこなかった人ほど、自分の収入に見合わない買い物の魅力に取りつかれてしまうようです。
ですが、分割払いであれリボ払いであれ、購入代金そのものは変わりません。実際には手数料・利息などの影響で支払い総額は変動しますが、購入する商品の本体代金は基本的に同じです。言い換えれば、どちらの返済方法でも借入額自体は同じなのです。なのに、毎月の負担が少ないことでリボ払いのほうが「お金を借りて買い物をしている」という感覚が薄いのです。
「いつまで経っても返済が終わらないな」「なんだか毎月の支払額が大きくなっていないか?」と思って残高を確認したら、予想した何倍もの残債があることに気がつくのです。その時になって初めて「こんな金額を返済しなければならないのか・・・」と後悔することになるのです。これが、リボ払いの怖いところなのです。
■リボ払いの怖さから抜け出すためには「返済シミュレーション」が重要
では、リボ払いの返済苦から抜け出すためにはどうすれば良いのでしょうか。それは「返済シミュレーション」を行い、今後の計画をきちんとたてることが重要なのです。返済シミュレーションによって、リボ払いの現状がどのようになっているかを正確に把握し、今後の対策も立てやすくなるのです。少なくとも、シミュレーションしない場合と比較して、何らかの改善は見込めます。
返済シミュレーションは、その時点での残債と毎月の返済額、支払う手数料など全てのデータを参考にして、以降の支払い期間と毎月の支払額を表などの形にしてわかりやすくします。これがいわゆる「見える化」です。見える化することにより、先の見えなかったリボ払いを解消するための第一歩を踏み出すことができます。
データが手元に揃っているのであれば、一から自分で計算することもできます。しかし、細かい数値なども考慮しつつ計算しなければならないのでなかなか面倒なことでもあります。ネット上では、各金融機関や個人サイトで返済シミュレーションに使えるツールが無料で公開されています。契約内容次第で適切なツールが異なりますので、お使いのカードの金融機関のサイトをまず確認し、利用できそうになければ他サイトのシミュレーションツールを活用して返済シミュレーションを行ってください。
■見える化したら次は本格的な対策を
シミュレーションによってリボ払いの現状を見えるかしたら、次はいよいよ本格的な対策に移ります。今後も現状どおりに返済し続けても良いのかどうか、毎月の支払額や抜本的な対処法など、より良い返済条件で支払っていける方法が無いか考えます。
まずは「毎月の支払額を見直す」ことです。例えば、毎月5千円支払っていたところを、毎月1万円の返済に変更すれば、単純計算では半分の期間で完済できます。ご自身の収入を考慮して毎月の支払額を見直してください。なお、「ボーナス」などの偶発的な収入は考慮しないほうが得策です。
次は「繰り上げ返済」です。これは、毎月規定の金額のみ支払うのではなく、金銭的に余裕がある時にまとまった金額を一気に支払うという方法です。一時の負担増は否めませんが、早めに支払いが終わるということと、それに伴って支払利息総額が少なくなるという点もメリットになります。ボーナスが支払われたら、この方法でリボ払いの早期返済に役立てることをお勧めします。
なお、クレジットカードによっては支払い方法を「ボーナス一括払い」に変更できる場合があります。このシステムは、ボーナス支払時期まで返済をせず、規定の時期になったら一括で支払うという方法です。繰り上げ返済と似た性質ですが、規定の時期までの返済については元本だけでなく手数料についても免除されます。「一括で」という点がネックではありますが、手早くリボ払い地獄から抜け出すにはもってこいの方法でもあります。
他には「借り換え」という方法があります。これは「おまとめ」などでも知られている方法で、別の金融機関でお金を借りて、それによって既存の借金を返済する方法です。複数の借金をひとまとめにするだけでなく、単体の借金でも利息などの返済条件が良い金融機関で借り換えすることで返済の負担が減少します。ただし、積もりに積もったリボ払いの残債に相当する金額(プラス、必要に応じてその他の借金も一緒に)を一度に借り入れることになるので、審査は厳しく見られる可能性があります。
■本当に返済に困っているのなら債務整理も視野に入れるべき
ですが、これらの方法はあくまでもその人に「十分な返済能力」があることが前提となります。収入は「仕事」に依存するものですが、場合によってはこれが安定しないこともあります。不安定な収入は時に激減することもあり、そうなればどの返済方法でも真っ当に返済し続けることは困難になります。
クレジットカードの残債も、債務整理の対象となる債務です。そのクレジットカードが定める最低限の返済額すら厳しくなった場合、普通の方法ではこれに対応できません。リボ払いの地獄から解放されるということはつまり「早く完済する」ということであるため、基本的にその対処法は「負担増」がコツとなります。ですが、収入が減るなどの事情が発生していれば、負担増によるリボ払い早期完済は危険です。
日常生活に必要なお金までかけて完済することはお勧めできません。必須以外の遊ぶお金などであれば別ですが、食費を切り詰め、公共料金や家賃にまで影響するほどに困窮すれば、選択できる対処法も限定されてしまいます。最終的には、誰がどう考えても自己破産するしか道が無いという状態に追い込まれてしまう可能性もありますし、既にそうなっているケースも珍しくありません。
任意整理、個人再生、自己破産と、どんどん借金減額効果は大きくなっていきますが、失うものも多くなることは事実です。早めに対処できれば、任意整理や個人再生でなんとかリボ払い問題を解消できるようになるかもしれません。手遅れになり、自己破産しか道がなくなるような状況になる前に返済シミュレーションを行い、どういった選択肢が適切か見極めてください。
■最後に・・・
とは言え、本来であればリボ払いはその人の収入では購入が難しい高額な買い物も実現できるなどの利便性があります。決して詐欺的な恐ろしさを持った存在ではなく、正しく使えれば消費者にとってメリットのある決済方法であることは理解しておきましょう。
その上で、油断してリボ払い地獄に陥ってしまった時には、早めに、冷静に対処することが重要です。先の見えていなかったリボ払いを解消するコツは、現状の把握と、今後の対策を適切な方法で行うことです。場合によっては債務整理も視野に入れつつ、どうすれば手早く安全にリボ払いの負担から脱出できるか、関連するさまざまな情報を考慮しながら考えましょう。