テレビCM、新聞や雑誌の広告、ネット、さらには街中の電柱の張り紙に至るまで、色んなところで「お金を貸します」という宣伝をみかけます。しかし、テレビや映画、マンガなどで目にするように、お金を貸してくれる金融機関には、「安全な業者」もあれば「危険な業者」もあります。
当然、危険な業者から借金すべきではありません。
とはいえ、一般の方には、「安全な業者」と「危険な業者」の違いがよくわからないものです。「今すぐお金を借りないと困る!」ということで、「慌てて借りた業者がヤミ金だった」ということも珍しくありません。そこで、この記事では、「安全な金融機関と危険な金融機関との違い」、「ヤミ金の見分け方」について説明していきます。
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違いのカギは法律
まずは、貸金業者の種類を比較して整理してみましょう。貸金業を行うためには、必ず「法律の規制」に従わなければいけません。
銀行は、「銀行法」、それ以外の「金銭の貸し付けを業として行う業者」は、「貸金業法」の規制を受けます。規制の例としては、次のものが挙げられます。
・国や地方自治体への登録
・契約内容の制限(貸付限度額・利率・説明義務・書面交付義務など)
・店舗に関する規制(帳簿の備え付け等)
・従業員に関する規制(貸金業務取扱主任者の設置義務・暴力団の使用禁止)
・審査に関する規制(過剰融資防止措置)
・取立てに関する規制(早朝深夜の取立て禁止・取立て方法・回数の制限など)
正規の貸金業者とヤミ金の一番の違いは、「ヤミ金は規制を守らない」ということです。
消費者金融
消費者金融(業者)とは、一般の方(原則として個人)に対して小口(10~500万円)の融資を行う(業者の)ことをいいます。「急な出費で手元にお金がない」というときの借金でよく利用されます。消費者金融の特徴をまとめると次のようになります。
・銀行からの借り入れに比べて「融資実行」までが早い
・銀行からの借り入れに比べて審査が厳しくない
・銀行からの借り入れに比べて利息が高い(年15~20%)
・借入限度額の範囲内であれば繰り返し借りられる
・無担保融資が原則
・「総量規制」の適用があり、「年収の1/3まで」しか借りられない
「サラ金」は、「サラリーマン金融」という呼び名の略語です。サラ金とは「消費者金融のかつての俗称」です。当時は、顧客のほとんどが「サラリーマン」であったことが由来です。 サラ金(消費者金融)は、「団地金融」とよばれる貸金業が発祥だといわれています。いまでは「団地」は古い建物が多いので敬遠されがちですが、当初は「生活の安定した人」が多く入居していたのです。一カ所に多くの人が集まっているので営業もしやすく、「団地に住んでいる人」を相手とした貸金業が広まりサラ金へと発展していきました。 しかし、「サラ金地獄」という言葉を耳にすることがあるように、1980年代になるとサラ金の過剰融資や過酷な取立てが社会問題となり、「サラ金=怖い」というイメージが定着してしまいました。 「サラ金=ヤミ金」という誤解は、このような背景によるものです。業界のイメージ回復のために、近年では、サラ金ではなく「消費者金融」という呼び名が用いられています。 中小規模の消費者金融のことを「街金」とよぶことがあります。消費者金融といえば、CMや広告で目にする業者をイメージしますが、これら「大手」の消費者金融以外にも、たくさんの消費者金融が存在します。 街金と消費者金融との違いを比較すれば次のようになります。 ・全国展開ではなく、「特定の地域のみ」で営業している業者が多い しかし、大手のように目立った広告をしているわけではないので、「ヤミ金と見分けづらい」点で注意が必要です。実際、過去に登録業者だった街金が「ヤミ金落ち」しているケースも少なくありません。このようなヤミ金を「ネオヤミ金」とよぶことがあります。 ヤミ金(闇金融)は、「違法な貸金業者」です。「法律に基づく登録をせず」貸金業を営んでいる業者や「違法な貸付」を行う業者は、ヤミ金です。ヤミ金は「営業それ自体が違法」です。したがって、ヤミ金の利息や借金は、一切支払う必要がありません。 現在は、貸金業法の「総量規制」のルールにより、「年収の1/3」を超える借金は、原則としてできません。そのため、「正規の貸金業者からは借金しづらい」時代になっています。その受け皿として、ヤミ金が増えています。 ヤミ金は違法業者ですから「法律の規制」を無視して営業しています。したがって、法律で定められている「禁止されている取立て行為」はヤミ金には関係ありません。 また、返済の行き詰まった顧客に「違法な口座取引」のような「犯罪行為を強要」することもあります。ヤミ金から借金することは、「まさに借金地獄」のはじまりです。 私であれば、「ヤミ金のいいなりになって捕まる」なら、「債務整理」します。 ヤミ金の代表的な手口について紹介していきます。どんなにお金が必要な場合でも、ヤミ金からだけは借金してはいけません。 連絡先が「携帯電話」となっているものを「090金融」といいます。090金融は現在のヤミ金の最も典型的な手口です。通常の090金融は店舗がなく、口座振り込みで融資・返済をします。この携帯電話・銀行口座は「違法売買」されたものなので、取引期間中に振込先の口座や携帯番号が変わることがあります。 法律では、貸金業を行うためには「固定電話番号の登録」、「店舗」が必要です。広告(ネット)やダイレクトメールの問い合わせ・申込みが「携帯番号」のときは、絶対にヤミ金です。 紹介屋・整理屋は古くからあるヤミ金の手口です。正規の貸金業者からはもう借金できない人に「借金できる業者を紹介する」と勧誘するのが紹介屋です。また、「あなたの借金を解決します」、「借金の一本化をしませんか?」と勧誘してくるのが整理屋です。 どちらも実際にお金を貸してくれるわけでも、借金を整理してくれるわけでもなく、「紹介料・手数料(着手金・手付金)」を騙し取られます。 また、「ヤミ金を紹介」されたり、「提携弁護士(司法書士)」とよばれるヤミ金とつながっている専門家の名義で「明らかに不利な金額」で任意整理されるケースもあります。 次のケースは、「提携弁護士(司法書士)」の可能性が高いと思われます。注意してください。 ・貸金業者(ヤミ金)から紹介された弁護士(司法書士) 買取屋・チケット金融は、クレジットカードで購入させた商品・金券を「不当に安い金額」で買い取るという方法で金銭を融通する方法です。「値引き分が利息」ということになります。金利に換算すれば、トサン(年1,095%)以上を搾取されていることが少なくありません。 買取屋・チケット金融は、形式としては「お金の貸付け」ではないので、貸金業法の規制を受けません。なかには「正規の古物商の資格」をもっているヤミ金もあり厄介です。 なお、買取屋・チケット金融を利用すると、自己破産した場合に「免責不許可事由」に該当することがあります。 そのほかにも、ヤミ金の手口は、次に紹介するようにたくさんあります。 ・自動車のリース料名目で資金を融通する自動車金融 これらの手口の業者は「さらに悪質」な場合が多いです。自動車金融では、車の盗難(無断での引上げ)危険性が、家具リース金融では、家の中に居座られる危険性が高まります。 また、年金担保金融は、「福祉医療機構・日本政策金融公庫」以外は取り扱えない公的制度です。上記の2つ以外に年金を担保に貸し付ける業者はすべて違法業者です。 ヤミ金は、手口は違っても「法外な利息」を要求してくることは共通しています。また、上で紹介した手口を用いず「普通の貸金業者を装っていても」、法外な利息を要求する「高利貸し」はヤミ金です。 「トイチ」は多くの方がきいたことがあると思います。「イチ」と聞くとなんだか安そうですが、トイチは年に換算すると365%です。「利息だけ」で借りた額の3.65倍も払うことになります。 多くの消費者金融から借金は年18%ですから比較すればどれだけ高いかわかると思います。 最近増えているソフトヤミ金は、トニ・トサンの利息を取るところが多いです。「年700%」、「年1,000%」なんて利息は、私にはとても支払える自信がありません。 「ヤミ金被害にあったらすぐに警察へ!」というサイトが少なくありません。しかし、「警察がすぐヤミ金の問題に介入する」ことはあまりないです。 警察が捜査・摘発に動いてくれるのは「暴力」、「脅迫」といった具体的な被害を受けた場合です。被害が起きてからでは遅いと思いませんか? 一般の方が「普通の貸金業者とヤミ金」とを見分けることは簡単ではありません。そこで、ヤミ金を見分ける3つの方法について説明します。わたしは「ヤミ金を見分けるのは結構手間がかかる」と思うので、「怪しそうな金融機関」からは、絶対に借金しません。 個人再生や自己破産をすると、氏名等の情報が官報に掲示されます。ヤミ金業者は、官報を元に「ブラックリストに載っていても融資します」というようなダイレクトメールを送ってくることがあります。 また、借金が多額になってくると、整理屋や紹介屋からダイレクトメール・メール・SNS等で勧誘があることもあります。特に、最近のヤミ金は申込時にメールアドレスやSNSのIDを申告させる業者が多いので、注意が必要です。メールアドレスやSNSのIDが、紹介屋・整理屋に流出することもあります。 ヤミ金は個人情報を守るはずがありません。ヤミ金に手を出すとさらにカモにされるリスクも増えるのです。 貸金業を行うには、「1つの都道府県内のみ」に店舗を構えるときには、その都道府県(知事)、「複数の都道府県」に店舗を設置する際には、本店を管轄する国の財務局(長)に登録する必要があります。 登録した貸金業者には、下記のような登録番号が付与されます。 大阪府知事(1)2345号 貸金業者が広告するときには、①商号(名称・氏名)、②登録番号、③連絡先(電話番号・ホームページアドレス・メールアドレス)を表示しなければなりません(貸金業法15条)。 また、正規の貸金業者のほとんどは日本貸金業協会に加入しており、その番号も表示しています。 消費者金融・街金の老舗といわれる業者のホームページでの表示は、次のようになっています。 商号:アコム株式会社 電話:0120-07-1000 登録番号:関東財務局長(12)第00022号 日本貸金業協会会員 第000002号 テレビCMや雑誌広告でも、隅のわかりづらいところにですが、必ず上記の表示があります。この表示がない業者はヤミ金と判断してよいでしょう。 登録番号を偽る業者に注意が必要 登録番号を偽って表示するヤミ金もいるので、登録番号が表示されているだけで安心してはいけません。 金融庁の検索システムでは、ネットや広告でみかけた貸金業者の登録番号を実際の情報と照合することができます。また、金融庁・貸金業協会では悪徳業者の情報の公開もしています。 「正規の登録業者」を装ったヤミ金もあります。「年収の1/3を超える過剰融資」や「利息制限法の上限利率を超える利息」を要求する業者は、「登録業者でもヤミ金」です。 また、貸金業者との契約締結時には「必ず契約書を文書で交付する」ことが義務づけられています。違法な貸付をする業者は「証拠を残さないため」に契約書を交付しないこともあります。 ( )の数字が小さい貸金業者には注意が必要 登録業者を装ったヤミ金は、(1)もしくは、更新回数の少ないものが多い傾向があります。 ヤミ金からは「絶対に借りない」のが最も大切なことです。しかし、万が一ヤミ金から借りてしまった場合には、被害を最小限に食い止めるためにも、次の対応をおすすめしています。 ヤミ金は、様々な要求をしてきます。しかし、ヤミ金は違法業者ですから、ヤミ金の要求に従う必要はありません。ヤミ金業者は借金で苦しんでいる人の弱みにつけ込むプロです。一度ヤミ金に従ってしまえば、被害はどんどん深刻化します。「ヤミ金はこわい」と思う人は多いでしょうが、「ヤミ金と縁を切る」には、「ヤミ金に従わないのがベスト」だと私は思います。 ヤミ金の問題を1人きりで解決するのは難しいです。ヤミ金はあの手この手で、あなたから1円でも多く搾り取ろうとしてきます。ヤミ金の問題を解決するためには、できるだけ早くヤミ金対応に精通している弁護士・司法書士に相談することがベストの解決策です。 ヤミ金に詳しい弁護士・司法書士に相談すれば、「ヤミ金の借金」は必ず解決します。 ヤミ金から借金してしまう人のほとんどは、他にも多額の借金を抱えています。そのため「冷静な判断」ができずに、状況を悪化させてしまうことも珍しくありません。 ヤミ金被害に遭わないためには、「ヤミ金とかかわらない」のが最も確実な方法です。ヤミ金とかかわらないためにも、正規の業者とヤミ金との違いを正しく知る必要があります。 また、万が一、ヤミ金から借金してしまったときには、決して1人で抱えず、早期に弁護士・司法書士に相談しましょう。ヤミ金問題は必ず解決できます。街金
・街金は消費者金融よりも審査が厳しくないヤミ金
一番やばいのはヤミ金
手口
090金融
紹介屋・整理屋
・弁護士(司法書士)ではなく、事務員(事務局長)が相談に応じる
・弁護士(司法書士)と会わないまま、委任契約を締結させられる
・委任契約締結時に契約書の交付がない買取屋・チケット金融
そのほかの手口はさらに悪質
・家具のリース料名目で資金を融通する家具リース金融
・年金を担保に貸し付ける年金担保金融金利(利息)
警察の介入がない
ヤミ金を見分ける方法
見分ける方法1「ダイレクトメールやポスティングはヤミ金
見分ける方法2「登録番号を確認する」
関東財務局長(9)8765号
λ貸金業者登録票> 商号:株式会社エイワ 登録番号:関東財務局長(12)第00154号 日本貸金業協会会員 第001053号 電話番号:045-312-3550(代)見分ける方法3「契約内容を確認する」
登録番号は、「登録先(更新回数)登録番号」の順序で示されています。貸金業の登録は法律で3年ごとの更新が義務づけられています。4:もし借りてしまったら
素直に従わない
相談する
まとめ