親やご家族が亡くなってしまった後、いろいろと疲れが溜まるはずです。お葬式の準備、さらには親戚や職場への連絡、さらに遺産整理…。無我夢中で動いていた分、全てが終わったらスッと力が抜けてしまうものです。
さて、そんな時衝撃の事実が判明することが稀にあるようです。それが、故人がヤミ金を利用中だった、という事実です。特に、猶予期間後に判明した場合、それを相続放棄できるのか、気になるところです。
今回、ここではヤミ金に関する、相続放棄や期限などについてを解説していきます。
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ヤミ金からの借金は返済義務はない
ヤミ金はとても怖いものであり、自分が借りていなくても、家族にも危害が及ぶ可能性がある悪質な金融業者です。
そのため、親がヤミ金から借金をしていた、ということであればすぐさま返済をスタートしなければならない、という気持ちになるはずです。しかし、本当にヤミ金には返済しなければならないのでしょうか。
合法で無いなら返済不要
ヤミ金に関しては、合法か否かという部分が焦点となってきます。そもそも、融資条件の契約内容、そして実際返済していっている内容が合法であれば、そこはヤミ金ではありません。
れっきとした、まともな貸金業者です。もちろん、ヤミ金に限らず相続放棄などの手続きによって、合法な貸金業者の対応も可能ですが、無視し続けるとなると合法の場合はトラブルになりやすいので、注意です。
ヤミ金であれば返済義務はない
実際に、親族などがヤミ金を利用しており、それを相続してしまったとしても、返済義務は生じません。そもそも、違法な契約内容で金利を搾取しているヤミ金は、存在自体が違法ですので、弁護士に相談していつでもその契約内容はリセットできます。
怖いから、ということで泣き寝入りしたり、放置していった方がさらに危険な状態に陥ります。相続放棄など、そういったこと関係無しに、本来であればヤミ金には返済義務が無いことを頭に入れておきましょう。
そもそも相続放棄とは?
ヤミ金からの借金を相続放棄すべきか否か、という解説の前に、まずは相続放棄とは何なのか、というところから解説していきましょう。
まず、相続放棄とは、その名の通り、相続人が遺産の相続を放棄することです。相続人は、受け取りたくない遺産については、拒否することができます。
返済義務も相続してしまう
消費者金融など、こういったローンに関しては返済義務としては保証人不要の無担保ローンですので、本人が死亡した場合は支払い義務は第三者に支払い義務は生じません。
とはいえ、相続をしてしまった場合は話が別になってきます。相続をしてしまうと、故人が残していた借金の残高分を請求されても、支払いを無視することができなくなります。
もちろん、消費者金融などでは過払金などが発生する場合があり、その状況に応じて相続放棄をしてしまうことで、遺族が損をするという事例もあるようです。とにかく、借金の返済義務は相続対象になる、ということだけは覚えておきましょう。
相続放棄のポイント
相続放棄で注意しなければならないのが、どの程度を手元に残すか、ということです。
相続放棄をすると、結果的に手元に何も残らなくなってしまいます。もちろん、相続放棄をした後、その相続分を受け取ることができる家族関係者は出てきますが、どうしても残したい場合、別の人に渡った相続の一部を別の方法で所有物にする手続きを踏まなければなりません。
仮にですが、
・売却額3000万円のマンション、故人の借金が10万円だった場合
→相続放棄をすると明らかに損を被ることになります。
・資産もほぼなく、借金だけが数百万円残っている場合
→相続放棄をすることで損害から逃れることが出来ます。
結果、まとめると相続放棄は、状況によって損得が大きく異なるということなのです。
ヤミ金業者は3か月後にやってくるワケ
故人からさまざまなものを相続した後、普段通りの生活を続けていたとします。平和な毎日を送っていながらも、3ヶ月後にいきなり、謎の電話がやってくることがあります。
「○○ファインナンスですが、お父さまが以前、20万円の借金をしておりました。ただし、放置していたことで遅延損害金が発生し、総額で500万円となっています。今直ぐに返済いただけますか?」
これは一体、どういうことなのでしょうか。
ヤミ金が利用する3ヶ月後の法則とは?
先ほどの電話内容を聞くと、明らかにヤミ金であることがわかりますが、一体なぜ亡くなった時ではなく、3ヶ月後に電話をしてくるのでしょうか。実は、この3ヶ月の間にちょっとしたカラクリが存在しています。
相続をするか、やめるかの答えを3ヶ月以内に出さなければならず、それを超えてしまうと、相続放棄が出来なくなってしまいます。それをヤミ金は利用してアプローチしてくるのです。
ヤミ金が3ヶ月後に電話をかけてくるワケ
3ヶ月以内に相続放棄をされてしまうと、借金などといった負の遺産を相続する必要が無くなり、結果的にヤミ金は取り立てを行うことができません。
消費者金融なども同様ですが、無担保ローンの場合は保証人を立てることができないために、相続放棄後は全て無かったことになってしまいます。中には、用意周到なヤミ金もいて、高齢者に無理矢理融資させ、保証人をこっそり指定させる、という連中もいます。相続放棄が出来る3ヶ月間は気づかれないように連絡を避け、期限が明けた後に電話をかけてくるというわけです。
3ヶ月を超えるとエスカレートする
つまり、ヤミ金側が借主であった人物が亡くなってしまった、ということがわかった場合、その日時から3ヶ月計算して、良きタイミングで連絡をしてきます。死後、3ヶ月以上経ってしまっている場合、もうじたばたしても相続放棄ができないので、ヤミ金もその部分を狙って嫌がらせをしてきます。
さらに、大変問題なのが、故人がどの程度の借金をしていたのか、わからないということです。「お父さまが、どの程度の借入をなさっているか、理解できていますか?」と言った時、何もわからない、と応えたら最後いくらでもその金額をヤミ金側は誤摩化すことが可能です。
電話だけの口約束で貸し借りがあるヤミ金ですので、手渡しだとしたら、もう誰もその金額はわかりません。証拠がない状態で数百万円を借りたと言い張り、大きなトラブルに発展してしまうのです。
3ヶ月の猶予期間後に相続放棄する方法
故人が利用していたヤミ金の返済残高を相続してしまった、となると厄介です。しかも、猶予期間を過ぎてしまうと相続放棄は基本不可能、とされているため泣き寝入りするしかありません。しかし、猶予期間後に相続放棄する方法も存在しているようです。一体、どんな方法なのでしょうか。
相当な理由による
今回のように、ヤミ金から相当な金額を請求されていることを後から知った場合、明らかに相手側の計画に乗ってしまった、ということになります。
また、契約書などが手元に無い可能性が高いヤミ金とのやり取りの中で、気がついたのが猶予期間後のヤミ金側の電話という事例は後を絶ちません。
そうなった時、相続放棄ができないと大損してしまいます。弁護士などに頼むと、相当な理由があった場合は3ヶ月後でも相続放棄が認められることがあります。しかし、それにも条件があるようなので注意です。
知ってから3ヶ月以内の証明
まず、相続放棄の猶予期間は3ヶ月以内と決められています。そのため、一般的には3ヶ月後の相続放棄は不可能です。
ただし、故人の負の遺産を知ったのが、3ヶ月後だったとか、2ヶ月後で対応できなかったなど、こういった理由が証明できれば相続放棄ができる可能性があります。
ただし、難しいのが原則不可能ですので、弁護士の力量や証拠品、そして時間と余裕が無いとなかなか、猶予期間後に相続放棄できないようです。可能性はある、ということだけは覚えておいて良いでしょう。
相続放棄したのに嫌がらせが起きる?
さて、相続放棄によってヤミ金への支払い義務が去った、となれば安心できるのでしょうか。
嫌がらせが起きることがある
ヤミ金側は、相続放棄があったとしても、あまり関心がありません。とにかく、相手を脅してお金をどんどん奪い取る作戦で経営していますので、逆に相続放棄したということで、相手を逆上させる可能性もあります。
オヤジとの契約は放棄できないなど、屁理屈をこねまわしてこちらを困らせ、返済を続けさせようとします。
無視することは可能ですが、職場への嫌がらせや自宅への嫌がらせ、いたずら電話などどんどんエスカレートしてくることも考えられます。
悩まずに即日弁護士に相談
しかし、3ヶ月以内に相続放棄していれば、何らこちらに落ち度はありません。ただの嫌がらせであれば、これは妨害行為です。
そのため、方法のひとつとして無視をする、ということも選択肢には含まれます。ただし、ヤミ金は違法性のある嫌がらせをとことんしてきます。当事者だけでの問題ではなく、家族や親戚、仕事場にも悪影響が及ぶことが十分に考えられるのです。
また、ヤミ金問題を放置していると、長年にわたってしつこくコチラに嫌がらせをしてきます。彼らは、基本的にこちらを精神的におかしくさせることを狙っていますので、無視しても関係無くやってきます。
個人的には、ヤミ金の影が見えたら弁護士にすぐにでも相談すべきだと思います。そもそも、ヤミ金自体は違法な取引をしていますので、相続放棄してもしなくても、基本的に弁護士に相談してください。
それでも嫌がらせが止まらなかったら、冷静に警察に相談しましょう。明らかな迷惑行為であるため、警察も動くことができます。録音、文書、嫌がらせをうけた証拠を集めておき、然るべき場所で対処してください。
最後に・・・
ヤミ金など、契約書などが無いような危ない金融業者は、家族などが把握しにくく、負の遺産として生活を脅かすことがあります。
しかし、3ヶ月後であっても違法な取引を行っているヤミ金であれば、相続放棄せずともその取り立てを無くすことが出来るので安心してください。大切な家族をどこまでも苦しめる、悪質なヤミ金たちには毅然とした態度で対応し続けましょう。