闇金。この名を聞いただけで恐ろしい気持ちになってしまう方も多いことでしょう。
借りたら最後、骨の髄までしゃぶりつくされる…という悪魔のような違法金貸しが闇金なのですが、なんと民事上、借りたお金を返済しなくてもよいといわれています。
闇金からのしつこい催促につらい思いをしている方はホッとする情報ですが、中にはこの法律を利用して借りて消えてしまう…いわゆる「踏み倒し&借りパク」を狙っている人もいるようです。そんなことできるのでしょうか…。ここで、真実を解説していきます。
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闇金はそんなに甘くない
2008年の最高裁にて、「闇金を利用した場合、その元本も返済する必要はない」という意味合いの判決が出ました。つまり、闇金は違法性の高い取引なわけで、借主側は被害者。1円たりとも闇金などに返済する必要はない、ということになります。
冒頭でもお伝えしたように、こういった法律があると悪用しようと思う人も出てくるでしょう。
「法律で返済しなくていいと決まっているなら、借りた後に速攻バックれよう!」確かに理屈だけをみれば、それがまかり通ってしまうかもしれません。
しかし、現実は甘くはないようです。・催促を迫られる借りパクをしようとしている、と闇金側にバレた途端、激しい催促を迫られます。鬼のように電話がかかってくる、メールがやってくる、郵便物も届くなど毎日どころか数分おきに厳しい催促がやってくるかもしれません。
本来はそんな催促は無視すべき事案でしょうが、闇金はそんなに甘くはありません。借主が対応を示さない限り、どんな手段を使ってでも連絡を取ろうとしてくるので注意してください。
嫌がらせや脅し
さて、もし電話などだけであれば問題ないでしょう。電話番号を変えたら電話がやってこない…ということもありますし、引っ越したりすればそれでおわりです。しかし闇金がそんなことで催促をやめるでしょうか?
催促に応じなかった場合、つぎは厳しい嫌がらせ、そして恫喝などをはじめます。電話に留守番電話機能がついていたら当然大声で叫びますし、郵便物の内容も過激になってくることでしょう。
そして、ある一定のレベルになったら闇金は自宅に取り立てにやってきます。激しくドアを叩き、そして大声で、「○○さぁ~ん!○○円、借りましたよね?ちゃんと返してくださいよ。いるのはわかっていますよ?」という感じで迷惑行為をしかけてくるでしょう。
周囲への嫌がらせもエスカレート
闇金からお金を借りる場合、個人情報をほとんど流出させなければなりません。氏名や住所、生年月日はもちろん、勤め先や家族、知人、友人なども聞いてくる場合があるでしょう。
何の気無しに全て伝え、そのまま借りパクしようとしたら最後、自分の周囲に嫌がらせが及びます。
家族が日中家にいる時に会いにこられたり、家族の携帯、職場などに電話がやってきます。「おたくの○○さん、全然お金返してくれないんだよね?あんた、親だろ?返せないの?」などです。緊急連絡先を知人や友人にしておけば、当然その方たちにも迷惑がかかります。
最終的には、自分の勤め先に連絡が来たり、闇金が会社にやってきたりするので注意が必要です。
会社の電話口に、「おたくの社員の○○さんね、借金しててね、全然返してくれないの」などといわれたら最悪、会社にいれなくなりますので注意が必要でしょう。
追いかけ続けてくる
闇金側にもうやめてほしいと伝えても、それはムダです。
前述したような嫌がらせはもちろん、ピザなど本当に大量に注文されるなど厳しい嫌がらせはエスカレートしていく一方。そもそも闇金側は貸したお金を返済する必要がない、ということは理解しています。そのため、ギリギリまで粘って金をしぼりあげようと努力してきてます。
当然、融資した初回から返さずに無視されていたら、「こいつ借りパクだな」ということが分かります。そうなると、前述したような嫌がらせをどこまでも続け、精神的なダメージを与え始めます。
「闇金さん。じつはね、アナタのところから借りたお金は法律で返済しないでいいの。だから俺は1円も支払いませんよ」と伝えたところでムダ。
「あぁ?だからなんだ。借りた金は返せよ?おい、コラ?あ?」というかたちで一切会話に取り合ってくれません。どんなにこちらが法律の話を出したところで、相手は取り立てのプロ。簡単に引き下がらず、逆に関係性が悪化して大変なことになってしまうことでしょう。
最悪のケースは自分が有罪に・・・
それでも闇金側が悪い、ということを言い張る方もいるはずです。たしかに、闇金は違法性の高い貸付けを行なっています。
明らかな違反、違法を犯しているのは火を見るより明らかです。しかし、闇金側はそういった部分も全て理解した上で金貸しを続けています。要するに、相手も死ぬ気でやってきている…ということです。
さて、闇金から借りパクしようと思っている方にひとつだけ注意してもらいたいことがあります。それが、「自分が詐欺罪で捕まってしまう可能性がある…」ということです。“まさか…闇金がいけないはずなのに?”と思うでしょう。一体、なぜ詐欺罪で自分が捕まってしまうのでしょうか。
場合によっては詐欺罪に該当
闇金は、詳しくいうと「不法原因給付」というカテゴリに貸付けをしています。その名の通り、不法な給付ということであり、法律では返還請求ができないとされているので本来は取り立てもできないはずです。
そもそも、違法なものを相手に渡したわけですから保護する必要がない…ということになるわけです。
しかし、仮に借りパク目的で闇金からお金を借りたとした場合、最悪は貸主側が詐欺罪で訴えられる可能性があるので要注意。闇金側が逮捕されなければいけないのに、自分が逮捕されてしまうという最悪のシナリオとなってしまうのです。なぜ、闇金から借りた自分が詐欺になるのか。説明をしていきます。
騙す気で借りたら犯罪?
仮に、アナタが本当にお金に困っており闇金を利用したとしましょう。しかし、利息が高く返済に困っているというシチュエーション。
いろいろ調べてみるとどうやら闇金にはお金を返済する必要がない、ということが分かったとします。そういった場合、弁護士などに連絡すれば「闇金からの催促を止めましょう」というかたちになり終了します。
しかし、「闇金には返済義務がない。だから、思い切って借りパクするか。」というかたちで闇金に連絡しお金を借りた後に連絡を一切せず、そのまま弁護士などに連絡する…というパターンには要注意です。最初から相手を騙す…という気持ちで融資を受けた場合、それは詐欺の既逐となってしまい詐欺罪が成立します。
さらに最悪なのは、「お前詐欺か?払えよ」と闇金から脅された場合、詐欺をしようと思っていて借りたので、“返済しません”は通じません。そもそも、不可罰的事後行為と捉えられてしまうため、法的にそれは成立せずに支払いをしなければならない、ということになるのです。
さらに元本を返済する可能性も
前述したように、詐欺をしようと思って相手からお金を借りた場合、それの返済要求を拒むことができません。
例えば、店鋪でおつりを多くもらってしまった…という経験をしている方もいるかもしれません。もし、おつりを間違えるように何らかの細工をし、さらおつりを多くもらったことに気がついたのにその分を返還しなかったとしましょう。
これは、詐欺になる可能性が高い事案です。“しめしめ…”と思っている最中、おつりを多く渡したことに気がついた店員が返還要求を求めた際、拒否はできないでしょう。
もらったものは返せない…では済まないのです。もし、その店鋪が違法なものを売っていたとしてもそちらは言及されません。あくまで、詐欺罪を働いた人間に対する対応となるので注意が必要なのです。
自分一人で対処せずに専門機関に相談を
闇金を踏み倒す、借りパクするなど、そういった行為は絶対にやってはいけません。
相手は明らかに不正な取引を強要しているのですが、それでも詐欺罪に問われるような行為をした場合、確実に自分に火の粉が振ってきてしまいます。
仮に、借りパクしようと思って借りたわけではなく、借りた当日に返済義務がないと気がついても返済しないそぶりを見せるのは要注意。
素人が、個人で闇金側に法律の話をしたところで相手はひるむことはありません。“は?だからなに?”で終わり。悪質な嫌がらせがスタートすることでしょう。
弁護士などに相談
もし、闇金に返済したくない場合は弁護士などに相談することが必要です。“なぜ、個人で闇金と戦うのではなく弁護士介入なのか?”と思われた方もいるでしょう。
まず、弁護士が介入すると闇金側にはさまざまな不利が生じます。当然、取り立ても止まりますし、元本すら戻ってきません。また、違約金などを支払うように命じられたり、警察に突き出されたり、裁判沙汰になったり、闇金側は人一人のために大変な思いをしなければなりません。
さすがに個人で弁護士レベルの行動はできませんし、そもそも下手に闇金と戦うと人生がメチャクチャにされてしまいます。あくまで、法の力を実際に利用することができる弁護士相手。
これが、闇金問題の解決にもっとも役立つ方法のひとつなのです。
正規の手続きを行って、リスクなく支払い義務を0にする
闇金の嫌がらせなどに困っていたら、正しい手続きを取って対応することをおすすめします。闇金対策に強い弁護士などに相談し、いくらどういった理由で借りたのかもしっかりと説明。
弁護士から闇金側に連絡を入れてもらい、支払いのストップ、さらに元金の返還などまでできたら大成功です。闇金は、取り立てや嫌がらせのプロです。そういった人たちを相手に、個人が正義を振りかざしても痛い目をみるだけ…。
ぜひ、闇金に困っている方は正規の手続きを行い、リスクなく支払い義務を0にしてみましょう。