数十年前、サラリーマン金融いわゆる“サラ金”が流行した時代がありました。その頃、手軽にお金を借りることができるということで話題となり、多くのサラリーマンが借金をしていたことで、この名がついたといわれています。
しかし、金利があまりにも法外であった事から返済が間に合わず、厳しい取り立ての末に自ら命を絶ってしまう人間なども現れ、社会問題となりました。さて、そんな危険なサラ金は今の時代は無く、厳しい貸金法に守られた借金ができる、というイメージを持つ方は多いはずです。
しかし、残念ながら似たような手口でお金を融資してくる、危険な貸金業者はまだまだ存在します。それが、「ヤミ金」です。今回、このヤミ金を見分けるポイントなどを紹介します。
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ヤミ金の定義とは?
ヤミ金といったらどんな貸金業者をイメージするでしょうか。個人的には、貸金法で定められている金利以上の金利を取り、さらには契約書なども特にない、乱暴な貸付けを行う業者だと思っています。
しかし、ヤミ金の捉え方は人それぞれであり、ある意味では銀行系のキャッシングであっても、「ヤミ金」と捉える人だっているでしょう。しかし、ヤミ金はある程度は定義することができる特徴を持っています。ここでは、ヤミ金の定義についてを解説していきましょう。
貸金業者ではない
ヤミ金を定義するものとなると、まずは財務局や各都道府県で貸金業者としての登録をしていない、完全にモグりの貸金業者をヤミ金と定義しています。
例えば、風邪を引いたり、ちょっとした手術をしなければならないといった状況に追い込まれれば、一般の方であれば各種専門医院にお世話になるはずです。しかし、そこの医師たちが全員、医師免許を持っておらずモグりの医師だったらどうでしょうか。
それは、完全に「ヤミ医者」であり、法外な金額を取られる可能性もあるでしょう。ヤミ金の定義としては、これらのように貸金業者として登録していないため、何をやっても目がつけられにくい、ということなのです。
法外な金利を搾取
しかし、近年ではこの定義も崩れつつあると言います。その理由が、東京都などに認定されていたり、貸金業者としてしっかりと登録している場所が増えてきているからです。
もしかしたら、母体は全く別の会社で登録しているかもしれませんが、HPなどに登録している証拠が記載されていれば、消費者はその現実を信じてしまいます。では、こういった貸金業者はヤミ金では無いのか…となるのですが、ひとつ定義するものが存在します。
それが、金利です。逆に、それらの貸金業に登録していながらも、出資法違反の金利を取るとか、契約内容がメチャクチャとか、返済総額を教えてくれないなど、明らかに一般的な消費者金融などと違う取引をしている場所は、ヤミ金と定義しても良いでしょう。
ヤミ金だと見破るポイント
ヤミ金の定義がわかったところで、次にはヤミ金の見破り方を紹介します。できるだけ、ヤミ金を借りないこと、さらには今利用している場所がヤミ金と気がつく、そんなきっかけとなれば嬉しいです。
美味し過ぎる謳い文句
どうしてもお金を借りたいと思っている時、個人的にも騙されそうになるのがこの「調子の良い謳い文句」です。「金利無し!?300万円を即日融資!」とか「審査無し!即日20万円をお貸しします!」とか、本当に!?と、思いたくなるような嬉しいコピーが出ていることがあります。
実際、貸金法であったり、一般的な貸金業者のやり方を知っていればデタラメであると気がつくはずです。出資法などによる金利、そして審査、さらには返済期間などは、本来は厳しく守られるはずです。「ラッキー!」と、思ってしまうような取引内容を提示していたら、まずは疑ってかかりましょう。
登録しているからといって安心しない
前述したように、国や都道府県に認められた貸金業者だとしても、怪しいと思うべきです。そんな登録番号はいくらでも偽装できますし、記載したもの勝ちともいえます。ヤミ金で困っている人たちは、そんな登録番号まで調べないだろう、というあちらの魂胆が見え見えです。耳慣れない業者、怪しい謳い文句などが散見された場合、登録自体も怪しいと思わなければなりません。
誰でも融資可能
ヤミ金の定番なのですが、「グラックでも融資可能!」や「無職歓迎!」などの謳い文句で、融資を誘ってくる場合はヤミ金率が高いです。ブラックとは、滞納歴があったり、多重債務者、債務整理者などを言いますが、こういった方々は一般的な貸金業者でなかなかお金を借りれません。
そこを逆手にとり、うちなら大丈夫というような甘い声で誘ってきているだけです。ブラックも無職も、貸倒のリスクは否めません。それなのにも関わらず、笑顔でお金を貸すなどという呑気な貸金業者は裏があると思わなければなりません。
携帯電話がメインである
ヤミ金を手っ取り早く見分けるコツがあるとすれば、携帯電話がメインの番号である、というところです。明らかに、携帯電話でやり取りをすればいくらでも逃げることができます。
何かあっても居所がバレませんし、トラブル後に連絡が簡単につかなくなります。絶対に、これはヤミ金ですので利用してはなりません。
個人間融資
携帯電話での融資、ネットでの融資、LINEからの融資。ヤミ金でこの個人間融資は間違いなくヤミ金です。個人間の取引ですので、うやむやになりやすく、弁護士も頭を悩ませる事例です。個人から借りる、というのは絶対に辞めましょう。
小額過ぎる融資
個人的な見解ですが、これらでも把握できなかった場合、当初の融資が5万円以下だった場合はヤミ金と思った方が良いでしょう。
最低でも、10万円は借りれますし、小額融資をしてそれらを金利で割り増ししていくというのが彼らの手口です。小額融資だけは、絶対に怪しいので避けてください。
代表的なヤミ金
ここからは、代表的なヤミ金の種類などを紹介します。
トイチ系
ヤミ金の定番の手口ですが、10日ごとに1割の金利、10日ごとに2割など、トイチやトニ、トサンなどの金利で取り立ててくるヤミ金を、トイチなどと呼んでいます。一般的には、1ヶ月に一度規定の金額を返済するのですが、これらの金融は1ヶ月に数回の返済があり、ほとんど元金が減っていない地獄の取引となります。
090金融
090金融というのは、今では080などにもなっているのですが、携帯電話1本で取引を行うヤミ金です。携帯電話でのやり取りは基本的に貸金法では違法ですが、トイチなどの取引を強要したり、「お前の家の前にいる」など脅迫用でもよく使われます。相手が不利になると、直ぐに音信不通になったりするので危険です。
紹介屋
未だに存在していますが、ヤミ金には紹介屋という連中も存在します。これは、100万円を貸すと甘い誘惑で呼び寄せ、申込者を各種の消費者金融で借りさせます。
適当な嘘をついて借りてこいと言い、合計100万円を他社から借りさせた上、手数料などを8割とって連絡が途絶える手法です。
この場合、20万円は借りられているようですが、結果的に80万円の借金を背負うことになり、さらには一般的な消費者金融で借金するため、ヤミ金側に落ち度はありません。精神状態が不安定だと、騙されていることにも気付けないので注意すべきヤミ金です。
押し貸し
押し貸しというヤミ金は、もっとも悪質と考えられます。一度、ヤミ金業者などでお金を借りる一歩手前までいったものの、断った人などが被害に合うケースが多いとされています。
銀行口座を一度、ヤミ金側に教えてしまうと、名簿屋などの横の繋がりを持つ連中に情報が売られ、別のヤミ金がそれに無理矢理お金を振り込むパターンです。
相手側は、「貸したのだから10日に、数万円返せ」など、半ば強制的に返済を迫ります。放置しておくと、相当嫌がらせを受けるため、借りる気が無いのであれば、絶対に口座を教えてはなりません。
他の代表的なヤミ金
ヤミ金の種類を調べていくと、かなりの数があり書ききることができないほど、手口が広がっていることがわかります。パンスト金融など、商品を押し付けてその支払いから借金をさせるヤミ金、「債権回収委託協会」などを名乗って相手が知らない間に借金したかのように見せる、カラ貸しなど、手口はどんどん巧妙になっていいっています。
どれも、一般的な融資方法からはほど遠い、理解に苦しむものばかりなので、おかしいと思ったら直ぐに身を引いてください。
借りたあとにヤミ金と判明したら
さて、どうしてもお金を借りたいと精神的に判別できず、借りた後からヤミ金だとわかることも多々あります。その場合、どういった対処法を取れば良いのでしょうか。
迷わず弁護士や司法書士に連絡
ソフトヤミ金など、あまり取り立てを派手にしてこない、優しいヤミ金が増加中です。そのためか、ヤミ金とわかっていても泣き寝入りする方も後を絶ちません。
基本的に、貸金法の観点から違法な金利を搾取している業者は、間違いなくヤミ金で違法です。どんな理由があっても、迷わずに弁護士と司法書士に連絡してください。
ただし、こういった弱者を狙ってヤミ金と結託するような悪徳弁護士も少なからずいます。法テラスや口コミなどを頼りに、まともな場所を選ぶ必要もあります。
ヤミ金相談窓口へ行く
行政では、こういったヤミ金の被害を1件でも多く無くそうとしているため、ヤミ金相談窓口などが用意されています。いきなり弁護士に相談するのも怖い、方法がよくわからないなど、そういった方はヤミ金相談窓口を利用するのが良いでしょう。まず、本当にヤミ金なのか、どのような契約内容を交わしてしまったのかなど、今後の対策を一緒に考えてくれます。
嫌がらせがきたら
警察どうやら、嫌がらせっぽい行為を受けている。これは、もう確実にヤミ金ですので、そういった状況になったとしたら警察に即日連絡をしましょう。
警察も、なかなか被害が無いと動いてくれないこともあるため、目に見える被害や恫喝があった場合は証拠を残して警察に届けてください。弁護士が本来は先ではありますが、具体的な嫌がらせまで行っていれば、警察に赴くのが良いと思われます。
ヤミ金と話合う
弁護士費用が無い、怖い、大事にしたくない。ヤミ金とわかっていても、周囲のかたがたに迷惑をかけたくないという方もいるでしょう。個人的な方法として、経済的にどうにか余裕があるのであれば、一度ヤミ金と話あって、最終的な返済終了日を教えてもらうのも手のひとつです。
あまりにも、話をはぐらかされたり、適当なことをしてきたら即日弁護士に相談すれば良いだけです。毎回、電話を録音して、そういったことをしたら…と、相手側にも伝えれば良いのです。相手も、返済をしてくれるのであれば手荒いことはしてきません。これも、手段のひとつとして覚えておきましょう。
最後に・・・
ヤミ金は、我々のことを“金を貪れる、カモ”としてか思っていません。人間として付き合う場合、到底こんな極悪非道な取引はできませんよね。
ヤミ金は、はっきり言って口が上手です。精神的に不安定、不安になりがちの方を狙ってくるため、まずは心をしっかりと持つことが重要です。そして、毅然とした態度を崩さずに戦う意志も見せましょう。
法外な金利を搾取している場合、アナタは1ミリも悪くはありません。自信を持って、ヤミ金に対処していきましょう。